登山サークル アウトドアチャイルド

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和名倉山、敗退しました
投稿日
2018/04/14
今日は朝5時に起きて、奥秩父の和名倉山に行ってきた。
西武秩父から秩父湖に行くバスの一番早いやつは8時30分発だった。
それに乗って、秩父湖に到着したのが、9時25分ごろ。
ここから和名倉山に登る。

山と高原地図では破線で表示されている道のりである。
破線とは、悪路ということだ。

順調にいけば16時ごろに和名倉山の山頂に到着する。
到着後は適当な場所でテント泊して、翌日下山するつもりだった。
しかし順調に行かなかった。
そして人はまったくいなかった。

シカが一頭出てきた。

とにかく悪路。
そして朽ち木が多くて、倒れた木が道をふさいでいる箇所が多かった。
かなり大きな土砂崩れが起こった跡もあって、そのあたりの木は全部倒れていた。

なんか通行止めっぽい。
虎ロープが行く手を遮ったりもしていた。
道が崩れている箇所もあり、そこはよじのぼった。

あんまり道がひどかったので、引きかえそうかどうしようかと迷いながら進んだ。
なんども引き返そうと思ったが、今回登らなければ和名倉山に登る機会は一生ないかもしれないので、なんとか先に進んだ。
しかし道を塞ぐ倒れた木の数が多すぎて、これはもうやめといたほうがいいなと思って、引き返した。
そもそも埼玉県の救助隊が書いたらしい、通行止め、という看板もあった気がする。

そして人は一人もいなかった。
このルートは誰もあるかないルートのようだ。

さて引き返すことになって、テント泊するかどうか迷った。
コースタイム通り下山すれば最後のバスに間に合いそうだ。
でも誰もいない山でゆうゆうとテント泊するのも楽しそうだ。
考えごとをしたいこともあったので、山でテント泊のほうがいいかもしれない。

しかし結局は今日帰れそうだったら帰りたいと思って、バス停まで下山することにした。

むりしたら山頂までいけたのではないか?
順調にいけば16時くらいには山頂に到着しそうだ。
しかし道があまりにもひどかったし、そもそも山頂付近にテント泊に適した場所があるとは限らない。
シカも見かけたし、クマとかイノシシも出てくるのではないか。
テント泊の翌日の日曜日もヘビーな一日になってしまうと、月曜日の仕事に差し支えるのではないか。

行こうと思えば行けた気がしたし、ここは行った方が今後のためにはよいような気もする。
今日むりしとけば、次はそれはむりではなくなる。
やったことがある経験になる。

でも結局やめといた。
安全登山の範疇でやるなら、ここはやめといたほうがいい。
ここをあえて行くのは無謀だ。
山頂までの道のりがどれほど悪路かわからないし、そもそもこの道あってるのか?
間違っているのではないか。

そのとき歩いている道が間違えているような気もした。
見渡すかぎり、何本も倒れた木が道を塞いでいる。

そんなようなことを考え、今回を逃すと和名倉山に登る機会がなさそうにも思ったが、今回は安全を取って引き返すことにした。

テント泊もせず、バス停まで下山することにした。

そして下山のとき、がっつり道を間違えた。
とてもまぎらわしいピンクテープに騙されて、間違えた道を降りてしまった。

そして再び登り直してから、再び下山を再開した。
道おもいきり間違えてた。

今度は大丈夫。
この紫色の花、覚えてる。
見覚えがある。

道を間違えたが、バスの時間には間に合いそうだ。
余裕をもって、間に合いそうだ。

わたしは黙々と下山を続けた。

そこで信じられない出来事が起こった。

まさか。

信じられない出来事が。

なんと上のほうから、人が降りてきたのだ!

うそでしょ。
無人の山、和名倉山に人がいた。

上から降りていたその人は、ほぼ間違いなく、和名倉山の山頂を踏んでる。

あの悪路をすべてくぐり抜けてきた!

すごい人だ。
超人だ。

その人はクマよけのスズをつけていて、からからからと鳴らしながら、ものすごいスピードで下山してくる。

私を追い抜かすタイミングで、こんにちは、と声をかけ、姿をちらりと見た。

二十代くらいのようだ
ぼっちゃんがり
めがね
黒いちいさめのザック
一見するとただの運動靴のような黒いくつ。
みどりの上着。

超人も軽く挨拶をかえしてくる。
ぜんぜん疲れた様子ではなく、涼しげな表情をしている。

山の格好という感じでもなく、街中を歩いている普通の若者、といった感じの姿である。

そんなにアスリートっぽい雰囲気の人でもない。
勉強はできるが運動は苦手、というタイプの人のようにみえる。

しかし下山のスピードがすごく早くて、すぐに見えなくなってしまった。

これが若さか!

和名倉山を登れなかった自分の体力不足を思いしる。

私もマネして、高速スピードで下山してみたがその途端に豪快にこけてしまい、右の足首を痛めてしまった。

マイペースで降りなければ危険だ。
まさに鵜の真似をする烏水に溺れる。

どうやらその若侍は15時50分のバスを狙っているようだ。
わたしは16時50分の最後のバスを狙っている。

そしてバス停に到着したのは16時30分だった。
若侍はいない。
15時50分に乗れたのだろう。

可能であればいろいろとインタビューしてみたかった。
和名倉山の山頂の土は踏めたのですか?
一体どのルートから登ったのですか?

わたしは自動販売機で三矢サイダーを買って飲みながらバスを待つ。
バスが来て、それに乗り、西武秩父で降りた。
そして駅前のフードコートで大盛りの味噌ラーメンを食べてから帰路についた。
帰路の途中にこれを書いているのであった。
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