登山に行く日は早起きしなければならない。
それは登山の常識である。
だがしかし、今日は登山に行くつもりだったにもかかわらず、早起きすることができなかった。

いや一度は6時に起きたのだ。
登山の支度は前日にすべておおむね済ませている。
だから6時に起きたとき、すぐに登山にでかければよかった。
そうすれば、かなりがっつりとした登山ができたはずだ。
テント泊の用意もしていくつもりだったので、気が向いたら一泊登山もできたはずだ。

乾徳山とか、尾瀬とか、瑞牆山とかでも、行こうと思えば行けたはずた。
いや極端な話をすると、富士山だっていけたはずだ。
この時期に富士宮口から登った富士山はどんな感じなのか、それはかなり興味がある。
山頂まで登れなくても、途中まで登るだけでも充分だ。

だがしかし、6時に起きたとき、まだ眠たくて、これから登山はしんどいなー、いやだなーと思ってしまい、今日はもう登山やめよっと、そんなふうに思ってしまった。
なんともぶったるんだ話である。

そして6時にまた寝てしまい、次に起きたときは9時だった。

9時だともうどこにも行けないだろう。
仕方がない、今日は駅前のドトールで新聞を読もう、そしてそのあとはブックオフで、あした天気になれ、という、ゴルフの漫画を見よう。
そんな風にも思ったが、ふいにナイスなアイデアが訪れた。

岩殿山なら、いけるんじゃね？

岩殿山、大月駅から徒歩で登れる山である。

山と高原地図で調べてみると、歩く時間は3時間20分くらいのようだ。

電車賃は片道972円。
往復で、1944円。
なかなか安い登山である。

3時間20分という歩く時間もほどよい。

うん、岩殿山で、決まりだね！

だね！

私はそう思い、早速外出。
すでに高尾駅をすぎ、着々と大月駅に近づいている。

岩殿山、きっと楽しい山に違いない！