剱岳の登山で大ダメージを受けました
投稿日
2021/08/09
剱岳に登って、とんでもない目に遭いました。
今回の登山では、早々に体力が尽きてしまいました。
それには色々な理由があります。
まず、剱岳のあたりのキャンプ場、山小屋が、あまり環境が良くないと感じました。
まず、トイレがあまりキレイじゃない。
トイレが遠い、キレイじゃない。
そしてトイレは、剱沢キャンプ場のトイレしかない。
近くの山小屋では、トイレを一般に開放していないようです。
和式のトイレだし、キレイじゃないしで、まずはトイレで困る。
それでまず、帰りたくなる。
あと、水場がない。
実際には水場はあるのですが、「煮沸して飲んでください」と書かれています。
しかし私はバーナーを持ってきていないので、煮沸できません。
でも実際は、塩素で消毒してるらしく、そのまま飲んでも大丈夫なようです。
しかし、煮沸して飲んでください、と書かれているので、そのままでは飲めない水だと思ってしまいました。
だから水は温存することになります。
そしてことのほか食料の入手も困難でした。
カップラーメンは売ってるが、お湯は提供していません。
コーラを買ったら、「空のペットボトルはお持ち帰りください」と言われます。
なんとも、剱岳周辺の山小屋やキャンプ場、単なる個人の感想ですが、あまり親切ではありません。
とにかく、剱岳周辺の山小屋、キャンプ場では、水の入手が困難、食料の入手が困難、トイレも困難、そのような状況で、それだけでもう今すぐ帰りたくなるなります。
もちろんそれは、単なる個人の感想です。
ただ私としては、上高地周辺のキャンプ場、山小屋、トイレのレベルを期待していたのですが、それには到底及びません。
とりあえず食料も水も、現地で楽々調達できるだろうと思っていましたが、まずはそれが甘かった。
もちろん、金を払えば飲料はいくらでも入手できます。
ただ500mlの一本が500円なので、ついついケチってしまいます。
でもペットボトルは回収してもらえないので、あまり飲みすぎると空ペットボトルが増えてしまいます。
そして水場の水は煮沸しないと飲めない。
そうなると、詰んでます。
じゃあ飲料はどうすれば良いのかと混乱します。
しかし今思うと、水場の水、そのまま普通に飲めます。
そこをまず、わかっていないといけません。
コーラは買ってはいけません!
空ペットボトルが増えて、ザックに収まらなくなるからです。
しかし空ペットボトルを回収してくれない山小屋は初めてです。
コロナ対策なのかもしれません。
でも他の小屋では空ペットボトル、回収してくれました。
やっぱり剱岳周辺の小屋やキャンプ場は、不親切なように感じます。
食べ物に関しては、自分でしっかり用意しておくか、そもそも最初から山小屋に宿泊しておけば安心です。
要するに、キャンプ場利用のテント泊の人間に対して、不親切なのかもしれません。
もっとも実際は、そんなに言うほど不親切ではないのかもしれません。
感じ方は人それぞれです。
あとトイレ、あのトイレでトイレするのは、かなり気合が必要です。
あのトイレでトイレできるか。
まずはそこが、克服すべき第一歩です。
今思えば、水場の水は普通に飲めます。
トイレもしっかり、あのトイレでトイレできるよう、頑張らなければいけません。
で、あと、剱沢キャンプ場から、剱岳の山頂まで、コースタイムは行きが2時間50分、下りは2時間25分となってました。
つまり往復のコースタイムは5時間15分です。
それで私は剱岳を甘く見ました。
それで500MLのペットボトルの水を二本、ゼリー飲料を四つ持って行きました。
でもそれでは全然足りませんでした。
往復のコースタイム、5時間15分となっていますが、なんと私は、10時間10分もかかってしまったのです。
剱沢キャンプ場から朝の5時に登りはじめ、戻ってきたのは、15時10分でした。
とにかく私は体力がなかった。
体力はすぐに尽きました。
登りはじめ、一服剱をへて、はるかに見えるあの頂きこそが剱岳だろうと思いきや、そうではなく、そこは前剱でした。
本物の剱岳は、その後ろにいるのです。
そして、その前剱から剱岳の道のりが、まさに地獄です。
まず、前剱を通ってすぐ、道は二手に分かれます。
登り用と、下り用です。
そこで、かなりの恐ろしさ難所にぶつかりました。
これが、「カニによこばい」か…
と、思いきや、そこは単なる無名の難所です。
剱岳の有名な難所、カニのたてばい、カニのよこばいは、まだこれからです。
無名の難所でこのレベルなら、ヤバいのではないか?と、思いました。
いや、あれが、カニのよこばいなのだと、思いたい。
私はそう思い、向こうから来る人に、「ここから先に難所はありますか?」と聞きました。
するとやはり、「カニのたてばい、カニのよこばいがあります」と、教えてくれました。
やっぱりさっきの難所は、単なる無名の難所だったのです。
「その前に、もう一つ難所があります」とも教えてくれました。
その無名の難所も、かなり厳しいものでした。
無名の難所でこのレベルだったら、カニのたてばい、カニのよこばいはムリなのではないかと思いました。
とにかく少しでも気を緩めたら、落下して死ぬレベルです。
怖くにもほどがあります。
これは帰ったほうがいいかもしれない。
あまりも危険すぎる。
そう思いながらも、一歩一歩慎重に歩き、なんとか二つ目の難所をクリアしました。
そして道ゆく人に、「カニのよこばいと、カニのたてばい、どっちが大変ですか?」と聞くと、「カニのよこばいです。めちゃくちゃ怖かったです」とのこと。
もうその地点で私はふらふらで、道ゆく人に「これからが本番だよ。そんなんで大丈夫?」と、心配されていました。
これは、引き返したほうがいいかもしれない。
しかし今引き返したら、もう二度と来ないだろう。
果たして生きて帰れるのだろうか。
死ぬのではないだろうか。
そう思いながらも、カニのたてばいにチャレンジしました。
鎖をしっかり持って、じわじわ登っていきます。
脚が震えます。
恐怖心との勝負です。
ゆっくりゆっくり。
冷静に。
一歩一歩、確実に。
丁寧に。
自分にそう言い聞かせて、震える手、震える脚で、じわじわと登り、なんとかカニのたてばいをクリアしました。
カニのたてばいができたのだから、カニのよこばいだって、できるだろう。
でもカニのよこばいが、一番大変らしい。
カニのよこばい、大丈夫だろうか?
ここまで来ると、もう引き返せない。
下りは、カニのよこばいを通るしかない。
果たして生きて帰れるのか?
とりあえず、剱岳の山頂に向かいます。
さながらエベレストのように、残りの50メートルが遠い。
なんとか必死に、ひとまず山頂に到着しました。
とても大きい達成感を感じました。
剱岳の山頂には、軽々と山頂まで登ってきた人たちが何人かいました。
「日帰りできました」とか、「室堂を4時半に出発しました」という、女性三人組もいました。
とても涼しい顔をして登ってきています。
一体どういうことなのか。
この人たちは、カニにたてばいが平気なのか。
じ、じ、次元が違う。
この人たちの血液はきっと緑色でしょう。
さてそれから下山です。
いよいよカニのよこばいです。
そして下山して、とうとうカニのよこばいに到着しました。
ここか…
私はその場で、たっぷり二十分、立ち尽くしました。
いよいよ、カニのよこばいです。
脚が震えます。
恐怖に押し潰されそうです。
思ったのですが、どうやら私は人一倍、臆病な性質のようです。
こんなとき、脚が震えてしまうのです。
落ち着いて
冷静に
ゆっくりゆっくり
そう自らに言い聞かせ、カニのよこばいにチャレンジできる心境になるのを待ちます。
その間に、後ろから来たグループが、カニのよこばいに取りつきます。
なんとも、楽しげに談笑しながら、カニのよこばいを進んでます。
その人たちが見えなくなってから、ようやく私も、カニのよこばいに取りつきました。
慎重に進みました。
どうしようもなく脚が震えます。
そしてしばらく進んでいて、とんでもない事態が訪れました。
「これは、前に進めない!」
感覚的に、これ以上進めない。
そのような状況になったのです。
というのは、足の置き場が見当たらないのです。
これは明らかに進めない道なのです。
感覚的に、ここは通れない、そのような感覚が訪れました。
しかし、みんな通ってます。
だから通らなければいけないのです。
それで私は思い切って、がっと強引に、勢いで、がっと鎖を掴んで、がっと前に進みました。
すると、足の置き場が見つかりました。
それでその後は慎重に進めば、問題なく進める、そのような道を進みました。
そしてなんとか、カニのよこばいをクリアしました。
でも一箇所、確かに感覚的に、「これはムリ。進めない。」というポイントが、確かにあったのです。
そこを強引に、ヤケクソぎみに、無鉄砲に、勢いで通りました。
でもあのポイントがあるから、カニによこばいは怖いと感じています。
確かに足の置き場が見当たらず、そのままでは鎖を掴んだまま、宙ぶらりんになってしまいそうな、そんな恐ろしいポイントが、確かにあったのです。
カニのよこばいをクリアした後も、難所はいくつか残っているので、油断はできません。
でも前剱に戻ってきたときにようやく、「生還した!」と、感じました。
ここからはもう難所はありません。
しかしそのように、生命の危機を感じながら歩いたので、もうヘトヘトに疲れ、ふらふらの状態になりました。
そして、誰よりも遅く歩き、そして、15時10分ごろに剱沢キャンプ場に戻ってきました。
それからテントを畳んで、雷鳥沢キャンプ場に移動して、そこでテントを張りました。
そこでも三時間くらいは歩いたので、1日で13時間くらい歩いたことになります。
雷鳥沢キャンプ場に到着したのは、19時ごろでした。
テントの中で私は寝て、恐怖に震えてました。
尋常なく怖かった。
死ぬかと思いました。
眠れず、食欲もない。
そのような状態で、恐怖に震えながら、寝っ転がっていました。
しかし気づくと寝てました。
そして23時50分ごろに起きました。
そしてまた2時ころに寝て、4時30分くらいに起きました。
それからテントを畳み、室堂バスターミナルまで移動して、まともなトイレで悠々とトイレしました。
それから立山ホテルの2200円のバイキングを食べました。
肉、魚、野菜などを、たくさん食べました。
食べて元気が出ました。
今は喉元過ぎれば熱さを忘れるの状態で、また後日、きつめの山にチャレンジしてみようかと思っております。