昨日、奥穂高岳に登ってきました。
そして下山するとき、登山グループとすれ違いました。
その中の五十代後半くらいのおばさんが、「あっちから登ってきたんですか？」と、話しかけてきました。
あっちとは、ジャンダルムのことです。
いえいえ、あっちは到底ムリですよ。あっちは日本一危険な道のようですよ
と、私は言いました。
するとおばさんは、そうですか、日本一難しいですか、では一度は歩いてみたいわね、と言いました。
そのおばさん、ジャンダルムを歩く気、満々なように見えました。
登山好きな人は、歳を取っていても、危険な登山を好むようです。
日本一危険とか言われると、ますます闘志に火がつくのかもしれません。
歳を取ると危険な登山を好むようになる。
その理屈はわかります。
歳を取ると、老化して、色々と人生が大変になります。
そんなときに何が一番必要かというと、心の強さが必要です。
心が強くないと、人生に潰されてしまいます。
老後は甘くありません。
老後を逞しく生きるためには、いや、老後を普通に生きるためには、いや、老後を笑って生きるためには、並々ならぬ、心の強さが必要になります。
歳を取ると色々と能力が低下していくので、それを補うだけの心の強さが必要になります。
そのために老人は、過酷な登山、危険な登山を好む傾向があるのではないかと思います。
あのおばさんも、いつかはジャンダルムを歩くかもしれませんし、少なくとも、ジャンダルムを目指して、今後も己を鍛え続けるのではないかと思います。