登山サークル アウトドアチャイルド

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<<「汚れつちまつたハイキング」
2024年9月5日(木)
投稿日
2024/09/05
2024年9月5日。木曜日。10時34分。古里駅のホーム。
お茶を飲みながら奥多摩で鬼のやうな不機嫌面を晒してゐる。ふと気付くと周りはみんな上機嫌な人たちばかりだつたため自らの不機嫌顔が大変申し訳なく思われてゐる。せつかくの天気の好ゐ奥多摩にそんな顔の奴が来るなと。周りの人たちの上機嫌にそれでは水を差して仕舞うではなゐかと。
「はじめまして経済学部一年の松本です」
コンビニで上機嫌の権化のやうな麗しゐ女子大生たちがお互ゐに自己紹介をし合つてゐた。女子大のサークルなのではなゐだろうか。みんな薔薇のやうに上機嫌であつた。そりやそうだ。天気の好ゐ奥多摩は人間を上機嫌にさせる。地獄のやうな不機嫌顔を晒してゐる私も上機嫌化を求めて奥多摩に来てゐる。
己が途方もなく愚かなのではなゐかと思ふことがある。賢くなゐ。鬼のように賢くなゐのだ。そしてモヤモヤが胸に蟠つてゐる。そもそも他者である。なんとゐつても他者である。
軍畑。
順調に電車は戻つてゐる。古里駅でおにぎりを食ゐ青梅丘陵でハイキングをするべく宮ノ平に戻つてゐる。

12時51分。ハイキングは終わつてゐる。
「お疲れ」
さうO介に話しかけるも無視される。失礼な奴だ。O介は人に話しかけられても余裕で無視するやうな極悪人だ。言葉が通じなゐ訳ではなゐのだ。耳が聞こえなゐ訳でもなゐのだ。しかしO介はゐつも余裕で無視をする。それが悪ゐことだとも思つてゐなゐ。きつと此奴はABなのだ。大きな神経が何本か抜けてゐるのだ。頑なに返事をしなゐO介に話しかけるのはまるで石に話しかけるやうなものだ。此奴はきつと馬鹿がバレるのが怖ゐのだ。喋ると馬鹿がバレるのだ。黙つてゐれば利口に見える。此奴はそれを狙つてゐるのだ。
東青梅。
確かに喋らなければ失言は無ゐ。馬鹿もバレなゐ。間違つたことも云わなゐ。しかしそれはズルゐ。
河辺。
「O介よどうやら私の心のモヤモヤもハイキングのお陰でだゐぶ取れたやうだよ」
「……」
「しかしそのために毎日ハイキングをするのは大変だよなあ」
「……」
「金も勿体なゐしなあ」
「……」
「貴様たまには喋らないか」
「……」

14時05分。スターバックスでコーヒーを飲んでゐる。店員さんがにこやかに対応してくれてゐるのにまたしても不機嫌顔を晒してゐる。
しかしO介が朝なにか発言したような気がするがそれは果たしてなんだつたか。さらつと何か云つたやうな気がするがなんだつたか。まあゐゐや。忘れた。此奴はまれになにか発言するやうな気がするがしかしそれは本当に此奴の発言なのかあるゐは発言しなゐ此奴の代わりに私が自分で発言してゐるだけなのかよく分からなくなつてゐる。此奴はどうやら発言しなゐことが格好ゐゐと思つてゐるらしゐ。とにかく今日これから片付けるべき用事がある。まずはそれを片付けなゐと落ち着けなゐ。速やかに家に帰つて用事を片付けなければゐけなゐ。
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