登山サークル アウトドアチャイルド

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ハイキング
投稿日
2024/09/18
宮ノ平駅を出発して、青梅丘陵をハイキングする場合、最初はずっと、のぼり坂である。
それをのぼり切り、トイレのある所に出たあとは、ゆるやかな散歩道になる。
彼は今、そんなゆるやかな道を歩いていた。
立ち並ぶ木々が、灼熱の日差しをさえぎり、涼しい影を作っていた。
小鳥は平和に鳴いていた。
羽虫はゆるやかに飛んでいた。
9月18日。
まだ蟬は鳴いていた。
夏の生き物のその寿命は、そんなに長くはないだろう。
彼は大きく息を吐き出した。

帽子をかぶった灰色の男性とすれ違った。
お互いの姿が見えないかのように、お互いに無関心であった。
彼は自分からは挨拶をしなかった。
挨拶をされたら、挨拶を返した。
奇妙な挨拶をする人たちもいた。
「おかえりなさい」と、言ってくる人がいた。
片手をあげて挨拶してくる、フレンドリーな高齢男性もいた。
彼はハイキングコースで、人間関係を作らないようにしていた。
下手に人間関係を作り、ハイキングがしにくくなることを恐れていた。
彼はいつも可もなく不可もない態度を貫いていた。
その姿はまるで、感情のないロボットのようであった。

二人の年配女性が前を歩いていた。
「クマは肉食になると、冬眠しなくなるのよ!」
女性たちは、その話で盛り上がっていた。
本当だろうか?
「木の実を食べるクマは冬眠するんだけど、肉食になったクマは、冬眠しないのよ!」
そう語られていた。
彼は青梅丘陵で、カモシカとタヌキを見たことがある。
その女性いわく、青梅丘陵には、イノシシやクマやシカもいるらしい。
確かにハイキングコースの左右の緑は深い。
どんな動物がいてもおかしくはなかった。
そして野生動物は意外と人里の近くにいるものである。
そのほうが食べ物を得られやすい。
人間の作った畑に侵入して、農作物を食ったりできる。
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