野生動物たちは泣いている
投稿日
2024/09/18
11時05分。
セブンイレブンで買ったおいしいカレーパンを三つ食べ、ほうじ茶を飲みながら、古里駅のホームにて、青梅行きの電車を待っている。
9月18日。
まだ灼熱の日々は続いていた。
首にタオルをかけた彼は、滝の汗を流していた。
さて、これから、ハイキングをするのか、しないのか。
一応彼は、ハイキングをしようと思っていた。
それから悠々と、家に帰るのである。
そのほうが良さそうだと、彼には思えていた。
川井駅。
車窓から、橋を眺めている。
その下には、川井キャンプ場がある。
キャンプ……それは甘美な響きであった。
それはまるで青春そのものの様な言葉であった。
コンクリートジャングルですり減った心を癒してくれる、キャンプ。
失われた原始の世界にタイムスリップさせてくれる、キャンプ。
世界の自然をこんなに汚し、破壊してしまったのは、彼のせいではなかった。
それは心の冷たい権力者たちのせいであった。
権力者たちは様々なルールを勝手に決め、大自然を、思う存分に破壊し、汚し抜いていた。
権力者たちの仕打ちに、カモシカもクマもシカもイノシシも泣いていた。
野生動物たちは苦しんでいた。
共存共栄の大自然の掟を、人類だけが一方的に破っていた。
まさに人類は地球のガン細胞であった。
人類は地球の自然を滅ぼし続けていた。
電車は石神前駅に到着しようとしていた。
次は日向和田であった。
そしてその次がいよいよ、宮ノ平であった。
彼はすでに青梅丘陵をハイキングする意思を固めていた。
とりあえず歩こうと、彼は考えていた。