登山サークル アウトドアチャイルド

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<<「谷川岳で死にかけました」
なんか逆に気を使わせてしまい、もうしわけないっす
投稿日
2018/02/13
2018年2月10日に谷川岳の山頂のオキの耳の雪庇に落ちてしまいました。
死ぬかと思いましたが、運よく途中で雪に足が突っ込んで、下まで落ちずに済みました。

山頂から1.5メートルくらいのところで止まりました。
でももうほんと、いつ落ちてもおかしくないような状態でした。

落ちたら死ぬって思ったので、めちゃめちゃ怖かった。
いやほんと、死ぬ可能性がすごい高いと思いました。

50パーセント以上死ぬと思いました。

もうほんと、いつ落ちてもおかしくないような状態で、壁にしがみついていました。

私が雪庇に落ちたのを見てる人が何人かいました。
その中の親切なご夫婦がすぐに警察に連絡してくれました。

谷川岳の山頂は、電話が通じました。
私は電話が通じることを知り、めちゃくちゃホッとしました。

すぐに助けが来てくれるだろうと思いました。

これ、電話が通じなったら、その絶望感はすごかったと思います。

ずっと下までいかないと電話通じないとかいう話になったら、もう最悪でした。

親切なご夫婦のご主人のほうが、すごいこまめに私に話しかけてくれました。
あと何分くらいでヘリコプターが来るとか、何か欲しいものはないかとか、ほんと、すごい面倒みてくれました。

でも奥多摩の遭難の本とか読んだのですが、遭難救助の人、けっこうのんびりしてます。
そんなん言うと奥多摩の救助の人に怒られるかもしれませんが、暗くなる前にすぐに救助を打ち切ったりして、「じゃあまた明日探します」みたいな感じで、けっこうのんびりしてるんだなーと思いました。
これ自分の身内の人間だったら、一晩中でも必死で探すでしょう。

で、今回の救助もそんな感じで、すごいのんびりした感じで来るんじゃないかと思って、私は必死で自力で這い上がろうと思って、雪とかピッケルで落として、岩壁を露出させて、なんとか自力で這い登ることをかんばってました。

でももう、足は雪に埋まってて、もうどんどん体が寒くなるし、一人でよじ登るのはとても無理でした。

でもなんとか、手を置ける場所が確保できて、少し安心しました。
で、下を見てみると、めちゃくちゃ高いわけではなかった。

だいたいマンションの五階くらいの高さです。

この高さだったら、うまく落ちることができたら、骨折ぐらいはするかもしれないが、死なないのではないかと思って、ちょっと安心しました。

で、もう体はどんどん寒くなるし、どんどん体力が落ちていく。

救助の人はすごい早く来てくれるみたいです。
ヘリコプターで来てくれるとのことでした。

それでも一時間くらいかかるそうでした。

で、一時間ももたないかもしれないと思いました。
じっと待ってるだけでは、一時間はもたないかもしれないと思った。

だから自力でよじ登る努力をし続けました。
そのようにがむしゃらに頑張ってると、体も暖かくなり、寒さ対策にもなります。
とにかく、体温取られて、体力が消耗する前に、自力で這い上がらなければ。

でももう、ほんと、自力で這い上がるのはあきらかにムリでした。

もう落ちるしかない。

マンションの五階くらいの高さを落ちるしかない。

自力で脱出するのであれば、よじ登るのは難しそうなので、もう一回落ちるしかない。
で、骨折くらいで済むように、うまく落ちれることを願いながら、一回落ちるしかない。

そんな風に、自力でなんとかする方向性も考えながら、動き続け、救助の人を待ちました。

で、ヘリコプターで谷川岳警備隊の人が来てくれました。
そして私に声をかけてくれて、すぐにロープをたらしてくれて、カラビナっていうんでしょうか。
なんか金具と金具をつけたりとか、「そのロープを肩にかけてください」とか、すごい適切な指示をしてくれました。

その方の指示通りに動いていたら、しっかりと安全が確保されて、そして一人では絶対に登れなかったその1.5メートルをよじ登ることができました。

ロープにつながった金具を持たせてくれて、そしてよじ登り、よじ登ったところで、その方が引っ張りあげてくれました。

もう救助の方も命がけです。

私の体重は90キロ近くですから、救助の方も巻き込まれて一緒に落ちてしまう可能性だってある。

救助の方も必死で引っ張り上げてくれました。

助けられたとき、心底ほっとしました。
死なずに済んだ。
骨折もせずに済んだ。

救助の方は、熱いお湯をくれました。

そして「ヘリコプターで帰りましょう」と言ってくれて、今度はヘリコプターに、引っ張り上げられました。

ヘリコプター、すごいド迫力でした。
至近距離では、砂が激しく顔を打って、顔がすごく痛かったです。

空を飛んでるヘリコプターにロープで引っ張り上げられるのも、もう生きた心地がしないくらいスリリングな経験でした。

ヘリコプターの羽で首が飛ぶんじゃないかと心配しました。

でもうまくヘリコプターの中に引っ張り込んでもらえました。

助けてくれた救助の方も、ヘリコプターに上がってきました。

その後、交番に行って、いろいろと調書をきかれて、そして消防署の人が来て、私の体調も調べてくれました。

で、カップラーメンもごちそうになりました。

谷川岳警備隊の方たち、めちゃくちゃ親切でした。

で、こんなにしてもらったので、さすがに少しぐらいお礼をしないとダメだろうと思って、その翌日に、谷川岳警備隊の人にお菓子と手紙を送りました。

通報してくれた親切なご夫婦にも、登山食と手紙を送りました。

これだけのことをしてもらったわけですし、命を助けてもらってます。

お菓子とか、登山食とか、そんなんじゃ全然足りないのですが、まあ何もしないよりは少しはましでしょう。
これほどのことをしてくれた方たちに、少しくらいは喜んで頂きたい。

で、送ったわけですが、警備隊の方から、すぐにお礼の電話が来ました。

で、通報してくれたご主人からも、すごい気を使った感じの連絡がありました。

なんかすごい気を使われています。

逆にお礼を言われるとか。

いやいや、お礼を言うのは私のほうですから。

なんか警備隊の人も通報してくれた人も、すごいありがたいことしてくれたにも関わらず、なんかその人たち的には当たり前のことを普通にしたみたいな感覚みたいで、だからちょっとこっちがお礼にお菓子とか送ると、「そんなことしていただいてもうしわけない!」みたいな感じで、なんか逆に恐縮させてしまったような感じです。

すごいいい人たちだなと思います。

こっちは命助けてもらってるわけですからね。
そんなお菓子とかくらいで、そんなお礼を言われる筋合いではなく、かるーく受け取っていただけると良かったのですが、なんか逆に気を使わせてしまった感じで、どうなんでしょーって感じです。

でも奥多摩の遭難の話の本でも、助けてもらった人はお菓子を持ってお礼に行ってましたからね。
交番に。

私の場合はお菓子を持ってお礼に行くという労力をケチって、宅急便で済ませたわけです。
お礼の電話もかけずに、宅急便でお菓子を送り付けただけです。

逆にそれに対して、丁寧なお礼の電話をくれるなんて、話があべこべですよね。

なんかこれだと私が命を助けたみたいになってます。

でもほんと、これだけことをしていただいたというのに、救助の人にとっては、いつもやってることで、仕事だし、普通のことなんですね。
別に感謝されるほどのことでもないって感じなんですかね。

通報してくれた人だって、見ず知らずの人が、当たり前のように通報してくれる。
助けてくれる。

これってすごいです。
山ってそんなもんなんですかね。

こっちはそれで命助かってんですからね。

でもなんかお菓子とか送って、逆に気を使わせてしまって、丁寧なお礼の電話までさせてしまって、なんか逆に悪かったような気がします。
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