婚活のイベントディレクター(3)
投稿日
2024/11/30
そして運命の十一月二日。Q社の婚活イベントの、イベントディレクターの仕事の日。
開催時間は十七時。場所は小田原。
参加者リストが届いたのは、イベント当日の午前中。これからも参加者が増える可能性があるらしい。
今のところ男性六人、女性六人。参加費は男性は七千円、女性は二千五百円。
今日がはじめてのイベントディレクターだが、進行は私一人だけである。とにかく何も教えて貰えない。
イベントは居酒屋で開催される。
店の詳細情報も、昨日の夜に催促して、ようやく教えてもらえた。参加者の情報は、本日の午前中になってから提示された。
そして本日十七時からのイベント直前になって、
「会計処理はどちらがいいですか?
外注処理にするか、個人での処理にするか」
とか、M社長が、またラインで訳のわからないことを言ってきた。
「外注の場合は本日の売り上げ分は、Tさんの売り上げにしていただき、残金をこちらに損金として支払いをしていただくか、本日のスタッフ代のみを売り上げとして計上していただき、領収書などを弊社に送っていただくかになります」
とか言われたが、意味がよく分からない。
どうやら先方は、こちらの反応を見ながら、手探りで、色々と決めているようだ。
最初は誰かメインで進行する人がいて、まずは研修という形でスタートするのだとばかり思っていた。しかし、いきなり一人で、すべてをやることになった。
どうやら私は、Q社に所属という形では無く、外注として仕事を依頼される形らしい。
報酬金は、四千円プラス交通費。金額で云うと、とてもやってられないくらいに安い。
とにかく、全然詳しい情報とか条件を全く提示してくれないので、実にやりにくい。なんか色々と騙されているような気もする。
要するに、話をまとめると、以下のようになる。
報酬金額は、四千円プラス交通費。店の領収書はもらう。私の人件費(スタッフ代)と交通費も、領収書を用意する。領収書はQ社に郵送する。徴収した参加費は、会社の口座に振り込む。振込手数料は差し引いて良い。
それら全部を自分でしなければいけない。参加者に渡すお釣りなども、自分で用意しなければいけない。
「お釣りは千円札が五枚くらいあれば充分ですよ」
と言っていたが、それでは全然足りないように思う。
街コンの開始時間ぎりぎりまで参加者を募集するらしい。申し込みの締め切り時間というものは設けていない。そして店への支払いは、ひとまず、すべて自腹である。