登山サークル アウトドアチャイルド

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道迷いして遭難しそうになりました。蕎麦粒山から棒ノ折山の道のりにて。
投稿日
2018/05/04
今日はあまり登山に行く気にはならなかったが、朝6時に起きたので、登山に行くことにした。
起きる時間が遅ければ登山に行かず、早ければ登山に行くというケースがよくある。

今日起きたのが9時くらいだったら登山には行かなかったと思う。

登山に行くと決めたものの、あまりきつい登山はしたくなかった。
今回は奥多摩で日帰り登山をしようと思った。
金もあまり使いたくないと思った。

今回は日帰り登山というのことで、小さなリュックを持っていくことにした。
登山用のリュックではなく、街中に持っていくようなタイプのリュックである。
おそらく20L程度のリュックではないかと思う。

今回の装備は以下のものだ。

500MLのペットボトルのお茶、3本。
カステラ、4個。
アメ、1袋。
レインコートの上。
ヘッドライトと懐中電灯。
地図。
コンパス。
ポケットティッシュ。
ハンドタオル。

以上である。
ビバーク(野宿)の用意はまったくしていない。

今回は楽な登山をしたいと思ったので、荷物を極力軽くした。

往復で6時間程度の登山がいいかなと思った。
でも未踏ルートを歩きたいと思った。

朝起きて支度をして、部屋を出たときにはまだどこに行くのか決めていなかった。
奥多摩であることだけ決めていた。

どこがいいだろうかといろいろ考えた。
天祖山がいいか、あるいは三頭山の未踏ルートがいいか、蕎麦粒山いいか。

面白そうなのは天祖山だ。
で、三頭山は人気の山なので、いろんなルートを歩いておくのはいいかなと思った。

問題は蕎麦粒山。
あんまり期待できないが、なんとなく気になっている山である。

どうせ大したことなんだろうなーと思いながらも、一度くらいは登っておきたい。
あんまり期待できない山なので、そういう山は先にさっさと登ってしまいたい。

それでまあ、今回はあえて、一番楽しくなさそうな蕎麦粒山に登ることにした。

蕎麦粒山にはどのルートで登るのか?

川乗橋バス停から登ろうと思った。
ゲートの近くに、蕎麦粒山に登っていくルートがあるようだ。
そのルートで登ってみようと思った。

そして同じルートで下山するピストン登山をしようと思った。

今日の奥多摩、登山者がとても多かった。
すごい数の登山者だった。
そして奥多摩駅の改札口付近ではずらりと人が並んでいて、「登山計画書を提出していください」と、活発に呼びかけていた。

最近の遭難者の数が書かれたボードなども目にした。
4月はとても多いようだった。
春になって登山者の数も増え、そのぶん遭難の件数も増えたようだ。
毎月死亡事故も起こっているみたいだ。

とりあえずバスに乗るまえにトイレを済ませようと思ったが、奥多摩のトイレはすごい行列ができていた。
だからトイレは諦めて、すぐに川乗橋行きのバスに乗った。

そしてバスの終点の川乗橋バス停で降りた。

そしてすぐに歩き出した。

ゲートの近くに、蕎麦粒山に登っていく登山口があるはずだ。

しかしそれらしい登山口は見つからなかった。

真新しいロープが張り巡らされている登山口があったが、あまりにも急な坂道であったので、作業用に一時的に設けられた登山口だろうと思った。
正規の登山口というふうには思えなかった。
「この先は蕎麦粒山」などという、道標も無かった。

しばらく歩いたが、めぼしい登山口が見つからなかった。
そのままかなり先まで歩いてしまった。
完全に、通り過ぎてしまっている。

どうやら、あの真新しいロープが張り巡らされていたあの急坂、それがおそらく、蕎麦粒山に登っていく登山口だと思われた。

その道からでなくとも、蕎麦粒山に行くことはできる。

しばらく進んで、細倉橋というところで、川苔山行きと、蕎麦粒山行きで、左右に二つの道にわかれている。
私は当然、蕎麦粒山行きの道を選んで進んだ。

しばらく進むと、小屋があった。
入り口にはカギがかけられていた。

しかし窓にはカギはかかっていなかった。
大きな窓なので、中に入ることができる。
中にはたくさんの薪などが置かれていた。

窓から中に入ることができるので、いざというときは避難小屋がわりに使えそうだ。
薪もたくさんあるので、ライターでもあれば、たき火もできそうだ。

蕎麦粒山に向かって歩いていく。
岩壁がたくさんある。
クライミングの練習場として、よさそうだ。
初心者が岩にハーケンを打ち込んで登っていくのにちょうどいいような、手ごろな高さの岩場がたくさんあった。

するどく切り立った高い岩壁もあった。
私はそれを、蕎麦粒山北壁と名付けて、一人でにやにやしていた。

何日もかけてクライミングをする人たちは岩壁にハンモックを吊るしたりして一晩寝たりするようだ。
一度蕎麦粒山の岩壁でハンモックを吊るして眠ってみるのも、クライマーになったようなつもりになれるし、面白いのではないかと思った。

その道のりでは、誰一人、人と会わなかった。
とてものんびりした道のりで、雄大な良い景色も見れた。

蕎麦粒山登山、のんびりしてて、なかなか悪くないのではないか。

今日はとても良い天気だった。
今日はあまり気が進まない気分で登山に来たのだが、とても良い天気で、道のりもとても気持ちよかったので、登山に来て正解だったなーと思った。
登山はやはり癒し効果がとてもあると思った。
のびのびとした開放感の中歩いていると、ストレスも発散できる。

登っているとき、道を一度間違えた。
30分ほど歩くと、行きどまりになってしまった。
そのため引き返した。

そのときは、登山アプリのヤマップがとても役に立った。
ヤマップのGPS機能はかなり正確で、とても便利だった。

ヤマップ、地図、コンパス。
今回はこの三つが、非常に役にたった。
それらのうちの一つでももし無かったら、遭難していたかもしれない。

ヤマップで見ると、明らかに道を間違えている。
そして間違えたまま、かなり先に進んでしまった。

でも、そもそもほんとに間違えているのか。
そこしか道がないようにも思えた。

あきらかな登山道のように見えるし、間違えているような気がしない。
行きどまりになったが、本当に行きどまりなのだろうか。
本当は先に進めるのではないだろうか。

引き返しながらそのように思った。

しかし引き返していると、「ああここで間違えたんだ」と、すぐにわかる場所に来た。

そこは左に行くのではなく、上に行くのだった。
ヤマップを見ても、それが正しいことは一目瞭然だ。

というわけで、その道を進んだ。

そこから山頂までは順調だった。

無事に、蕎麦粒山の山頂に到着した。

山頂には欧米系の外国の方が二人いた。
英語でいろいろ話していた。

あと、椅子に座ってのんびりコーヒーを飲んでいる年配の男性もいた。

蕎麦粒山の山頂は、とても気持ちのよい場所だった。

意外にも、とても良いところだった。

ただ立派な標柱はない。
左右などを指し示す道標の胴体部分に、蕎麦粒山、と書かれているだけだった。

私は10分程度山頂で休憩してから、下山を開始した。

その下山が問題だった。

川乗橋のゲートの近くから登山口があるはずだったが、それに気づかなかった。
それがとても気になるので、下山道はその道で下山しようと思った。

川乗橋まで降りていけば、どこが登山口であったのか、確認することができるだろう。

蕎麦粒山からは、鳥屋戸尾根、松岩ノ頭、塩地ノ頭、笙ノ岩山と経由して、川乗橋バス停まで下山しようと思った。

しかしこの下山で間違えた。

気付くと、桂谷ノ峰に来てしまっていた。

下山の方向を完全に間違えてしまっていたのだ。
この方向は、川乗橋に向かう方向ではなく、棒ノ折山に向かう方向だった。

それに気づいたとき、また蕎麦粒山の山頂まで引き返そうかと思ったが、またあの最後の坂道を登らなければいけないのだと思うと、とても大変に思えてしまい、しばらく迷った末に、もう今回はこのまま棒ノ折山まで行ってしまおうと思った。

おそらくそこから棒ノ折山までは、ゆるやかでとても歩きやすい道が続くのだろうと勝手に予想していた。

それが大間違いだった。

蕎麦粒山から棒ノ折山への道のりで、道迷いをしてしまった。

どこで迷ったのか?

オハヤシの頭、日向沢ノ峰、までは順調に進めた。

日向沢ノ峰から棒ノ折山に向かう道の40分間くらいのところで、道迷いが発生した。

どこで間違えたのかまったくわからない。

とにかく、「6キロで棒ノ折山」という標識があった。
たった6キロか、と思ったことを記憶している。

その道のりが、平坦で歩きやすい道のりであると想像していたが、実際はそうではなく、急坂の下りの連続だった。

途中で一人、40代らしき男性を追い抜かした。
その男性も急坂の下りには苦戦していた。

そういう道を、どんどん下って行った。

急坂を下ったり、平坦な歩きやすい道を歩いたりしていたと思う。

その後、ますます急坂になる。

道がすごくわかりにくい。
かろうじて、道があるかないか、そんなような状態だった。

さっき追い抜かした後ろから来る人、大丈夫だろうか。
こんなわかりにくい道。

そんな風に思った。

すごくわかりにくい道を延々と下る。
すごい急な下り坂だ。

道はすごくわかりにくいが、たくさんのピンクテープが張られている。

ピンクテープがなければ、どこに行っていいか全然わからない。
もしピンクテープが騙しだったら、完全にアウトである。

後ろの人、大丈夫かな。
この道、やばすぎる。

引き返したほうが良さそうな気がした。

というか、もうほとんど道がない。

最初のころは後ろの人を心配する余裕があったが、気付いたときには、もう道は全然なかった。

道がもう完全に消えた。

でもピンクのテープはいっぱいある。

はっきりとわかった。

完全に道を間違えた。

ヤマップ、コンパス、地図を、頻繁に確認しながら少しずつ進む。

ヤマップを見ると、もう全然違うところにいる。

コンパスを見ると、東に行かなければいけないのに、どんどん北に行っている。
すごい急坂で、道は全然ない。

本来の棒ノ折山までの登山道は、もうずっと南のほうである。

もう完全にそこからはそれた。
もうぐんぐん北に行っている。

そのように、ピンクのテープが道しるべをするのである。

なんど引き返そうと思ったことか。

しかしピンクのテープがあまりにも多すぎたので、ピンクのテープの通りに進んでいけばいつかは安全地帯に出るだろうと思い、引き返すことはためらわれた。

とにかくものすごい急な下り坂を延々と下り続けたので、それをまた登っていくのは、非常に大変だと思い、とても引き返す気にはなれなかった。

なんでまた、日帰りの装備のときに限って、こんな目に合うのだ。

テント泊の用意でもあれば、もっと余裕を持って進むことができただろう。
いよいよやばくなったら、一晩寝て、また引き返すことだってできる。

すごい薄着できて、なんのビバーク(野宿)の用意もないこんな日に限って、こんな目に合う。

このピンクテープ、一体どこに導くのだろう。

どんどん北に行ってるし、埼玉方向か。

地図は奥多摩のやつだから、今以上に北に行くとどうなっているのか、全然わからん。

もうとにかく、ヤマップ、コンパス、地図が頼り。
そのうちの一つでもなくなったら、もうおしまい。

ヤマップで位置を確認し、コンパスで方向を確認する。
ここから見て、東にいけば、林道に出れるはず。

大名栗林道という林道のようだ。

現在地はその林道から近い。
とにかく東。
東に行くこと。

ピンクテープを頼りにして、とにかく林道に合流することを目指し、進んでいく。

やがて細い渓流にたどり着いた。
そしてそこからようやく、林道の姿を見つけた。

林道を見つけたとき、心底ほっとした。
助かった、と思った。

その林道をずっと東にいくと、棒ノ折山の近くの、岩茸石のところに至るようだ。

岩茸石まで行って、そこから棒ノ折山の山頂に行って、そして青梅線の川井駅まで下っていけばいいだろう。

とりあえずそうすれば無事帰れる。

すごくほっとした。

道に迷ったとき、下に下るのではなく、上に登っていったほうがいいという。
そのほうが救助の人から見つけられやすいかららしい。

しかし今回は、ピンクテープがたくさんあったので、下に下にと下っていくことになった。

山の怖さをまた思い知る。
遭難は誰にでも起こりうる。
自分は大丈夫とは、言えないものだ。

今回は無事に済んで本当に良かった。

道に迷ったというのに、いつか安全なところに着くだろうと、なんの根拠もなく、楽観的に考えてしまい、どんどん先に進んでしまう。
そして本格的に迷ってしまい、今更引き返すだけの体力も残っていなくて、力尽きてしまう。
道迷い遭難の典型的パターンだ。

私もまた、ピンクテープに完全依存して、いつか安全地帯に出るだろうと楽観視して、引き返すことはせずに、どんどん先に進んでしまった。

でも今回はヤマップとコンパスで、現在地もわかったし、近くに林道があることもわかったし、大丈夫だろうとは思ったが、しかし楽観的すぎる考えではないか、これは本当にヤバいのではないかと、かなり不安だった。

ピンクテープが安全地帯に導いてくれるに違いないとは思ったが、そこが一体どこなのかがわからない。

これはこれで不安だった。

とりあえず林道に出て、そこから東に行けば、岩茸石に出る。

でもどのくらいの時間がかかるのか。
それはわからない。

棒ノ折山の山頂に到着するのは、夜の10時くらいになってしまうのではないか。
それでも一応、ヘッドライトは持ってきたので、例え夜になったとしても、川井駅まで下ることはできると思った。

しかし地図をよくみると、林道の途中で、また棒ノ折山までの登山道に戻れる破線の道のりがあった。

林道から槇ノ尾山というところまで登れる破線の道のりだ。

槇ノ尾山から棒ノ折山までは20分の距離だ。
その破線から登れば、大幅な時間短縮になる。

すごく早く、棒ノ折山の山頂に到着できる。

しかしこんな疲れ果てた状態で、破線の道を歩くのはちょっと抵抗はあった。
また道迷いするのではないかという不安もある。

しかしその破線の道、なんとか無事に登ることができた。
林道から破線の道に入り、40分ほどで、槇ノ尾山に到着できた。
そしてそこから20分、とうとう棒ノ折山の山頂に到着することができた。

棒ノ折山の山頂の到着時刻、16時10分。

昼の時間帯は棒ノ折山の広々とした山頂には、50人以上の人がいたことだろう。
しかし16時10分の山頂には、人は一人もいなかった。

私はベンチに座り、お茶を飲み、カステラを食べた。

もうここまで来れば大丈夫。
あとは慣れた道のりだ。

10分程度休んで、早速、川井駅に向けて下山開始だ。

ちょうど下山開始をしようというときに、さわらびの湯方向から男性が一人、山頂に姿を現した。
それを見て、私はちょっとびっくりした。

この時間に山頂にいるということは、もう今から下山しても、さわらびの湯からの最終バスには間に合わないだろう。
その人は、さわらびの湯の近くの家に住んでいる人だろうか。
あるいは、車で来たのだろうか。
あるいは私と同様、川井駅まで下るつもりだろうか。

私はチラチラとその人を盗み見ながら、山頂を後にした。

山頂からは、50分程度で道路に出る。

清東橋という、キャンプ場に出る。

キャンプ場にはたくさんの人がいた。

みんなバーベキューしたり、ビール飲んだりして、とても楽しそうだった。
子供も楽しそうに走りまわっていた。

キャンプ場からは70分ほどで、川井駅に戻ってこれる。

本数は少ないが、キャンプ場から川井駅までのバスもある。
しかし時刻表を見てみると、バスは来ないようだった。
バスが来るのであれば、もうバスに乗って帰りたい気分だった。

棒ノ折山の山頂から道路までは、60分くらいかかった。
そして道路から川井駅までは、80分くらいかかった。

そしてようやっと、川井駅に到着した。
川井駅でトイレを済ませ、電車を待つ。

そして電車に乗り込んで、ようやっと、最寄り駅の牛浜まで帰ってきた。

牛浜の前のオザムで、半額になっていたから揚げ弁当を二つと、ロースハムを二パック買ってきた。

そして家に帰って早速、から揚げ弁当を二つ食べて、グレープジュースを飲んだ。

今日も無事、家に帰ることができた。

奥多摩なめるな、山をなめるな。

そんな感じである。

蕎麦粒山から棒ノ折山までの登山道。
別に破線でもなんでもない。

迷いやすい道を意味するクエスチョンマークもない。

にもかかわらず、がっつり道迷いした。

どこで道を間違えたのか。

今度機会があれば検証してみよう。

人がいっぱい通るような人気の道のりだと危険は少ないだろう。

しかし人はほとんど通らないような道で、そしてそれが未踏のルートであれば、それなりの危険は含んでいる。
そういった道を歩く場合は、より一層、慎重な心構えが必要なようだ。

それにしても後ろから歩いていたあの男性。
無事だろうか。

あの人は道には迷わなかっただろうか。

あそこらへんは本当にピンクテープの数が多かった。
おそらく道迷いしやすい場所に違いない。

後ろから来てた人は、道に迷わず、正しい道を歩いただろうか。
それとも、途中でヤバいと思って、引き返しただろうか。
無事をお祈りしたい。
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