登山サークル アウトドアチャイルド

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<<「道迷いして遭難しそう...」
山よりも高い山を制覇しました
投稿日
2018/05/07
私は今、賃貸マンションの住民トラブルに見舞われている。
二つ隣の部屋の人が玄関の前に私物をたくさん置いていて、迷惑しているというトラブルである。

管理会社にはハガキとメールで苦情の連絡を入れたが、それに対する返事はないし、対応してくれている気配もない。

弁護士さんにホームページから問い合わせてみると、消防署に連絡すれば対応してくれるかもしれないというアドバイスを教えてくれた。

玄関の前に私物を置くのは消防法という法律に違反している可能性があるとのこと。

それで消防署にメールで連絡してみると、早速対応してくれた。
すぐにマンションの玄関の前の状況を見にきてくれた。

しかしその結果は、「消防上、問題なし」という判断になってしまった。

それでも、発泡スチロールの箱だけは回収するように、その問題の住民に言ってくれたらしい。

その箱は宅配スーパーの空箱で、その箱が一番困っていた。
風が吹くと、その箱がこちらの玄関のところまで頻繁に飛んでくるのだ。

箱だけではなく、フタ、ビニール袋、テープ、紙くず、箱の中の部品などが頻繁にこちらの玄関のところまで飛んでくる。

玄関の前に置かれているものは、宅配スーパーの空箱だけではなく、自転車、座椅子、解体した本棚のようなものも置かれている。

そして今後もますます増えそうな気配がする。

本来であればこのような場合、管理会社にまっさきに電話で苦情の連絡を入れるものに違いないが、私と管理会社との間には確執があり、電話で連絡することがとても困難だ。

マンションの入居時に管理会社とトラブルがあって、そのトラブルが未解決のまま、むこうからの連絡が途絶えてしまった。
そのことで私はすごく腹を立てていて、これ以上ケンカをしたくないということもあり、私のほうも連絡を一切しないことにした。

しかし管理会社には月々3000円の管理費をしっかり払っているし、2年ごとの更新時には7万円の更新料を管理会社に払っている。

管理会社と不動産屋は名前は別々だが、同じ住所で、同じ人たちがしている。

このマンションに入って四年以上がたつ。
その間一切管理会社には連絡していない。

そして連絡したくない。

何がなんでも連絡したくない。

というか、連絡しなければいけない状況になることが、いつも恐怖であった。

カギをなくしたり、マンションの致命的な不具合が出た時には連絡をしなければいけない。
それがいつも恐怖だった。

早く引っ越したいと、ずっと思っている。

気楽に連絡できる、確執のない管理会社が管理するマンションに引っ越しをしたいと思っている。

今回、二つ隣の住民が玄関の前に私物を出すという問題が発生した。
四年間ずっと出していたのだが、その数が最近増えたのだ。
それでこれ以上増えるとたまったものではないと思い、管理会社にハガキで連絡した。

ハガキで連絡しても、なんの音沙汰もなかったので、メールで連絡した。
それでもやはり、なんの音沙汰もない。

それで弁護士さんにも相談した。

その不誠実な管理会社との交渉を、全部弁護士さんに代理人として任せたいと思ったのだ。

弁護士さんが相手だったら、管理会社の人たちも無視したりせずに、誠実に対応するのではないかと思った。

しかし弁護士さんに頼むと、とても高い。

弁護士さんに頼むと、一時間1万円くらいかかる。

この問題に対応してもらった場合、30~50万くらい金が楽々吹っ飛ぶ可能性がある。

それがすごく困る。

そもそもこういう問題に弁護士さんが対応してくれるものか。

三件ホームページから弁護士さんに連絡をしてみて、その中の一件の弁護士事務所の人が相談に乗ってくれるとのことだった。

最初の30分は無料で相談に乗ってくれるらしいが、その後は30分5000円である。
15分の延長だと、2500円のようだ。

30分の相談ではたりず、60分くらい相談してしまった場合、その場で5000円取られることになる。

そんな贅沢できるのか。
そんな贅沢できる身分か。
そんなに易々と金が使えるような身分か。

身の程をわきまえねば。
私は別に金持ちでもなんでもないし、逆に貧乏なほうである。

そんな風に軽々と金を使えるような人間ではない。

トラブルに対応するとしても、自分の経済力にあった対応をする必要があるはずだし、自分の経済力では対応できない問題に関しては、解決をあきらめて我慢するしかない。
それが財布に合った生き方というものだ。
金持ちのマネして法的なケンカなんかすると、えらい目にあう。
金がすっからかんになり、借金ができてしまうかもしれない。

そんなことを考えると、弁護士さんに相談するのもはばかられる。

先日、消防署の人が来てくれて、宅配スーパーの空箱だけは部屋の中に回収するように言ってくれたようだ。
宅配スーパーの空箱だけは玄関の前からなくなっている。

それだけでいいではないか、今回は。
もう十分がんばった

そもそも一番迷惑していたのは、その宅配スーパーの空箱だ。
風が吹くとそれが頻繁にこちらの玄関の前に飛んでくる。

それが一番の迷惑だった。

しかしそれだけでも今回、回収してもらった。

まだたくさん、玄関の前に私物は出ているが、そこはもう、我慢したほうがいいだろう。
そこはもう気にしないでおこう。
そのくらいだったら、我慢しよう。

弁護士さんに相談する必要もないだろう。
もう後は我慢しよう。

そう思って、今日の朝、外に出た。

するとどうだろう、宅配スーパーの空箱が復活していた。
玄関の前にでかでかと、置かれている。

やられた。

消防署に注意されて三日間ほどは、宅配スーパーの空箱は見かけなかった。
しかし今日、また復活してた。

これは・・・

もう電話するしかない。

管理会社に電話する。

自分で電話すれば、金はかからない。

弁護士さんに代理人になってもらい、管理会社と交渉してもらうと、すごいたくさん金がかかる。

自分で電話すれば、金はかからない。

いやもう、問題の住民に直接言うか。

そんな気にもなった。

気弱な私が、意外にもそんな気分になった。

管理会社の電話番号を調べる。
ホームページで調べる。

一度マンションに帰って、マンションの壁に書かれている電話番号を確認する。

うん、同じだ。
ホームページの電話番号と、マンションの壁に書かれている電話番号と、同じだ。

間違い。

ではその電話番号にかければいいだろう。

管理会社の営業時間は10時から。

まだ1時間以上、時間がある。

私はさまよった。

管理会社の近くまで歩いて行った。

そしてUターンして、駅の方に向かう。

コンビニに入る。

西友の建物に入る。

ぶらぶらする。

ぶらぶらして、とうとう10時になった。

冷静に。
とにかく冷静に。

私はとうとう、管理会社に電話をした。

「はい、もしもし」

管理会社のおばさんが出る。

「もしもし。○○マンションのMですが」

と、むっつりとした声で、ゆっくり言う。

「ああ、どうもどうも、ハガキ届いてますよ」

「そうですか。ではその後の対応の状況はどのようになってますか?」

「ああちょうどいま、朝礼で言ったところです。ちゃんと見にいきます」

「では対応をしていただけるということで、よろしいですか?」

「はい、対応します。ご安心ください。ちょうどいま、朝礼でみんなにこの件をいったところです。なにせゴールデンウィークが終わったばっかりですから。これから対応します」

とのこと。

いやいや、ゴールデンウィークの間も、不動産屋なんだから、営業してたでしょ?
6日以上、無視っておかしくない?

とは思ったが、それは言わなかった。

「ではお願いします」と言って、電話を切った。

とにかく、電話した。

電話の様子だと、これからすぐに見に行くというような感じだったので、私はすこし遅れてマンションに帰ってきた。
10時に電話して、11時45分にマンションに帰ってきた。

管理会社の人と顔を合わせたくないから、時間をずらした。

できれば今日は丸一日家に帰りたくなかったが、そういうわけにはいかない。

11時45分にマンションに帰って来たときには、玄関の前の私物は、全然変わっていない。
もとのままである。

まだ見に来ていないのだろうか。

対応するとかいいながら、結局対応しないつもりだろうか。

しかし今日、私は一つ大きなことを成し遂げた。
そんな満足感がある。

管理会社に電話をした。

そう、こういう問題でうるさく連絡すべき相手は、管理会社である。
消防署でも、弁護士さんでもない。
管理会社である。

それが一般常識だ。

それをとうとう、成し遂げた。

弁護士さんだって変に思うだろう。

なんで電話してないんですか?

と、不思議に思うだろう。

誰だってそう思う。

でもとにかく、何が何でも電話で連絡だけは避けたかった。

弁護士さんに代理人になって、お金で済む問題はお金で済ませたいと思った。

でもまずは、自分で電話をしたほうがいい。

それは常々思っていた。

さながらそう、これはめんどくさい問題はママに頼んで、自分はそういう問題を避ける。
そういう子どもの心理である。
学校休むから先生にはママから連絡して。
そういう心理である。

そのママが今回は弁護士さんになったということだ。
しかし弁護士さんはママとは違って、すごい大金を払わないと対応してくれない。

もう大人だし、自分のことは自分で解決する。
自分で解決できない問題は、諦める。
我慢する。
ママや弁護士には頼らない。

いや、弁護士に頼ってもいいが、自分がやれることは全部やった後で、頼むというのが、正しい順序というものだ。
自分がやれることも弁護士に頼んで、すべて金で解決する。
私はそんな金持ちではないのである。

とにかくこの問題。

解決するのかどうかわからない。

電話で連絡したが、結局対応してくれないかもしれない。

しかし今日、私は大きなことを成し遂げた。

大きな山を越えた。

制覇した。

管理会社に電話する。

そんなこと、普通誰でも簡単にできることかもしれない。

しかし私はそれを、四年間避け続けた。
しかしとうとう今日、それを成し遂げた。

結局問題が解決しないとしても、今日私が成し遂げたことは、私の中ではとても偉大なことである。

自分の弱さに勝った。

そんな風に思う。

敵は問題の住民でも、管理会社でなく、どんな目にあっても文句ひとつ言えない、か弱い自分の弱い心であった。

その自分の弱さに、今日は勝ったのである。

今日は勝利の日。

というわけで、問題は何も解決したわけではないけれど、今日は私にとっては大いなるビクトリーの日。

とても気分の良い日である。
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