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ケンカしてやめた会社の社長にメールしました
投稿日
2018/05/28
私は在宅勤務でWEB制作の仕事をしている。
そしてその仕事を、いきなり解雇されてしまった。
それでもすぐに辞めろという話ではなく、6月30日までは働いてもいいとのことだ。
その間に次の仕事を探せという、ありがたいご配慮を頂戴している。
7月1日からの収入のあてがない。
こりゃまたほんとに困った。
しゃれにならんくらい困る。
一気に世界が灰色になってしまったって感じ。
この寒々しい世界。
氷のように冷たい世界。
まーとにかく、スキル不足なものなので、求職活動も毎回大変。
こちらから選ぶなんてことはできなくて、入れてくれるところがあれば有難く入れて頂く感じ。
とにかくもうほんとやばい。
なんといっても、スキル不足。
で、とにかく、勉強に励む。
で、以前にケンカしてやめた会社があるのだけど、そこに今日、気付くとメールしてた。
その会社の社長Sさんには、私は5年間養っていただいた。
Sさんは38歳で実務経験なしだった私を、採用してくれて、そして鍛えてくれた。
それですごい頼りにされる感じの立場になった。
それで私は調子に乗ってしまって、もう我がまま放題にふるまった。
もう私がいないと会社が回っていかないという状況になっていたので、もうやりたい放題である。
しかしそんな状況がいつまでも続くと困ると考えたS社長は、水面下で私の権力を奪う行動をコツコツと続け、そしてやがて、私はその権力の座から転落した。
もう最後は、ケンカみたいな感じである。
S社長と私は、お互いを憎み合っていた。
そんな感じで会社をやめた。
すごくギスギスした感じでやめた。
もう二度とS社長とは関わることはないだろう。
そして私はその会社の事業が、一日でも早く潰れてしまえと、そのことだけを強く願った。
そしてあれから二年が過ぎた・・・
あれから私もいろいろなことがあり、いろんな痛い目にもあってきた。
そして自分が完全に調子に乗っていたことに、痛いほどに気付いた。
誰もがS社長ほど優しくはなかったし、心が広くもなかった。
S社長はほんと、憎くて憎くて、会社潰れて貧乏になってしまえ、ホームレスになってしまえ、なんて、藁人形でも叩きながら念じているようなごとあったのだが、今となっては、その憎しみもきれいさっぱり消えたようだ。
私は今の仕事でこっぴどくクビになってしまい、いやまったく、世の中はまさに灰色だなーなんて思って、涙を流したり、天を仰いだり、そんなことばかりしていたわけだけど、今日はついつい、この世の希望の星、生きる神、マララさんよりも偉大な人物であるS社長に対して、ついついメールを送ってしまったのである。
しかし当然、返事は返ってこない。
なんといっても、最後にひどいダーティーファイトを演じて、実に醜くさんざん迷惑をかけながら会社をやめてしまったのである。
それなのに、どのつら下げてメールを送るというのだろう。
メールをもらったS社長も、それはそれは、びっくりしたことに違いない。
なぜ私はS社長にメールを送ったのかというと、やはりS社長の会社では5年間も働かせてもらったわけだし、鍛えてもらったわけだし、育ててもらったわけだし、さながらそう、S社長は私にとっては東京のお父さんのようなものなのである。
だから今みたいにこっぴどい目になってしまったとき、なんとか誰かに癒されたいと思い、S社長に対してメールを送ってしまったわけである。
もう一度、雇ってくれませんか?
そんな思いでいっぱいであったのだ。
しかし、返事は当然来ないだろう。
あんなに汚い辞め方をしたのだから。
と、思いきや、なんと、S社長からのメールの返事がきた。
それもまた、短いが、とても心のこもった、フレンドリーな感じの、愛に満ち溢れた、とても感じのよいメールの文章だった。
ただまあ、雇ってくれるとか、そういう話はムリそうだ。
というのは、S社長の会社、見てみると、今はすごい大きくなっていた。
どうやら事業は絶好調のようである。
昔は小さい事務所でこじんまりとやっていた会社であったのに、ホームページを見てみると、すごい立派な場所に引っ越してけつかる。
すごい立派な会社になってけつかる。
それを見ると、私の居場所はもう完全にないんだなーと気付かされることになる。
昔は小さな会社だったので、私のようなスキル不足なWEB制作者を採用したのだが、今はもう、優秀な人しか採用しない感じになっているようだ。
いやもうほんと、あの身近にいたS社長が、私の子分のように感じていたS社長が、もう遠く手の届かない場所に行ってしまった。
S社長、すげー金持ちに違いない。
独身である。
今もきっと独身だろう。
私よりも、一個年下である。
Sさんは別に優秀な人間という感じではないが、とにかく甘え上手というか、人を使うのがうまい。
自分よりも優秀な人間をたくさん集めて、そして仕事を任せきってしまう。
周りの人間はSさんがあまりにもだらしなく、頼りないので、自分がなんとかしなければ、そんな気分になる。
Sさんはもうすべて丸投げしてくるし、実にだらしのない性格だ。
しかし、きっとSさん、そうとう金もっとるで。
すごい金稼ぐのがうまい。
天才なのではないかと思うくらいだ。
そのSさんと離れてしまったのが、おそらくきっと、私の灰色人生の始まりであったのだ。
今となってはもう、また働かせてください!なんて言えるような空気じゃないし。
まあそりゃもうしゃーないっすね。
まあともあれ、Sさんから感じのよいメールが返ってきたことは、とても良かった。
頑張ってもっとWEB制作のことを勉強して、いつかまたSさんのお役に立てるような、そんな人材になりたい。
そしてまた、Sさんのとびっきりを笑顔を拝みたい。
そんな日がいつか来ることを願う。
それを夢見て、それを唯一の希望とし、頑張って生きていこうかと思う。
やっぱ人間は、希望がなければ生きてはいけないものなのだ!