登山サークル アウトドアチャイルド

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奥多摩の天地を喰らった後のコーラは格別です
投稿日
2021/08/01
暑い。
電車のエアコンがありがたい。
今日も疲れました。
今日は奥多摩に聳え立つ難攻不落の山。
登れない山、登ってはいけない山と言われる人を寄せ付けない山。
神々のみが住まうと言われる雲の上にある山。
一口食べると元気はつらつになると言われる仙豆の木が生えていて、今なら仙豆食い放題のバーゲンセール中と言われる山。
昔天狗が登ろうとして「この山きついなー。ワシでもちょっとムリだなー」と言って途中で引き返したという山。
マッターホルンの三十倍難しいと言われている山。
有名登山家いわく、「こんな山に登ろうと思ったら命が百個あっても足りないよー、がっはっは」と、言わしめた山。
それほどまでに、嗚呼それほどまでに難しい山。
そんな山であるその名も高き、奥多摩の誇る日本のキリマンジャロとも言われる、天地山、「嗚呼、てんちさんったら、てんちさん!」というテレビコマーシャルでお馴染みの、あの天地山。
そうあれですよ、あれ。
あれのこと。
びっくりした?
そうなんです。
あの、天地山のことなのです。
東京のエベレストと言われる、あの天地山と言われる山の話を、今わたしはしています。
富士山じゃないですよ。
天地山です。
天地山。
あなた。
そこのあなた!
あなた、奥多摩の山によく登るそうですが、じゃあ聞きますが、天地山には、登りましたか?
そう聞くと、余程の奥多摩通であったとしても、「は?天地山って、なんじゃらほい?」と、目を丸くして尋ねてくるような、そんなマニアな山、幻の山、山の中の山、不可能を可能にする山、山田さんが一番好きな山、そんな山なのです、天地山という山は。
そんなとんでもない山に、わたしは軽々と登ってきたというわけです。
「どけ、どけー、じゃまだ、じゃまだー」と叫びながら、先ゆく人たちを追い抜いて、飛ぶような勢いで登山道を駆け登り、家族連れの少年からは、「お父さん、天狗がいるよ!」などと言われながら、「少年よ、天狗じゃないぞよ。人間ぞよ。ふっふっふ」と言って、大物ぶった偉そうな態度で少年の頭を撫でながら、少年からの羨望の眼差しを浴びながら、「僕、大きくなったらおじさんみたいにカッコいい登山者になりたい!」などと言われ、ぐふふと笑って、「少年よ、それはムリだ。お前のような平凡な人間が、ワシのようなスーパースターになれるわけがあるまい。身の程をわきまえて、誰にも迷惑をかけず、生涯大人しく過ごしなさい。お前みたいなものは、生涯上司にペコペコして、コメツキバッタのように生きるのがお似合いさ」などと言って、少年の夢を打ち砕き、少年ののぼせ上がった考え方に冷水を浴びせかけ、ザコはザコとして謙虚に生きるべし、すべての人から命令され、素直に従うだけの人生を送れ。
お前の頭で考えてもろくなことは考えないから、もうお前は何も考えるなと教えてあげ、少年がザコはザコなりの幸せをつかめるよう、全力で応援してあげたいような気がします。
つまりまあ、そんな感じで登山をして、人の三倍のスピードで登り、「こいつは、シャア専用登山者だ!」などと言われながら、光よりも早いスピードで登り、百メートル9秒58ペースでずっと登り続け、奥多摩駅から出発して、ほんの二、三秒で、天地山の山頂に立ったのでございます。
まさに朝飯前。
下山も矢のような速度で下山して、ついでにクマと戦って判定勝ちで勝利をおさめ、それでもやっぱり、登山の後はとても疲れました。
猛暑です。
灼熱です。
まるでサウナです。
そんな中で登山したため、もう体はからっからになり、体のすべての水分を失い、体重が30キロも減ってしまい、生きるシカバネのような有り様で、まさに骨と皮だけのような有り様で、「即身仏かよ!」などとツッコミを入れられ、「いえ、即身仏ではありません。四十代の男性です」と丁寧に返事して、登山が終わったときにはもう、からっからに疲れました。
「疲れましたね!」と、道ゆく人に怒鳴りつけるくらいに疲れましたね。
それでまた、そんな状態でコーラ飲んだのですが、いやー美味かった、コーラ。
旨すぎてです。
殺人的に旨かった。
罪です。
こんなに旨いなんて、罪ですよ、ほんと。
それほどまでに灼熱の煉獄。
地獄の底のような炎天下登山をした後の、ひえっひえのコーラというものは、もう最高に美味かった!
「旨いですね!」と、道ゆく人に怒鳴りつけて歩くくらいに、もう抜群に美味かった!
そのようなワケだったのです。
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