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高尾山のスタンプラリーと、高尾山マニア有段者たち
投稿日
2022/05/03
世間はGWに入っているようだが、無職の私にはGWなど、まったく関係ない。
無職の私は、朝は寝たいだけ寝て、予定は何もなく、することも何もない。
自由であるが無職のため、金はあまり使えない。
無駄使いは、一円もできない。
そのような状況だ。
早く次の仕事を見つけなければいけないと思いながらも、DVDを見たり、読書したりなど、束の間のんびりした生活を過ごしている。
これはまさに、アリとキリギリス状態である。
少し貯金ができれば、貯金が底をつくまでギリギリまで遊び、そして金はなくなりかけてから、ようやくシリに火がついて、必死で職探しをする。
それが私のいつものパターンなものだから、貯金なんてほとんど無い。
そんな生活を老後まで続けてしまえば、豊かな老後など到底望めない。
そのようなことを考えると、焦ってしまう。
永遠に若ければいいのにと思うが、人生そんなに甘くない。
子供は大人になり、大人は中年になり、中年はやがて老人になる。
それはもう、確実にそのようになる。
それを考えると、恐怖である。
死の恐怖であり、病気の恐怖であり、老いの恐怖である。
永遠に若ければいいのに、いつまでも死ななければいいのに、などと思ったりもするが、人生そんなに甘くない。
百パーセント、人は死ぬ。
それはもう、厳然たる事実である。
そんなことを思いながら、今日も高尾山に出かけた。
高尾山に、用事がある。
それは、スタンプラリーである。
高尾山のスタンプラリーが開催されていることに、二日前に気づいたが、そのときは雨だったので、スタンプラリーの紙を、持って帰ることはしなかった。
スタンプラリーをするのであれば、天気が良い日がいい。
天気が良くなれば、ぜひスタンプラリーを楽しもう。
そのように思っていた。
そして今日、天気が良く、そして比較的早起きもできたので、高尾山のスタンプラリーをすることにした。
スタンプラリーを、ご存知だろうか。
要するに、高尾山の各所にスタンプコーナーが設置されていて、そこにゆき、一つ一つスタンプを押していくという、楽しいゲームである。
まず、私は家を出た。
空のペットボトルになみなみ水道水を注いだものをザックに入れて、それを肩に担ぎ、颯爽と歩く。
そして立川駅のコンビニで、カマンベールチーズパンを三つ購入する。
すでに温かいお茶も二本購入して、温かいお茶を鯨飲している状態だ。
どうもなかなか、飲茶はやめられない。
本当はお茶も体によくないのだと私は思っているのだけど、どうもお茶中毒から、抜けることができずにいる。
要するに、カフェイン中毒なのだろう。
口が寂しくて、いつもお茶を飲んでいる。
健康のため、酒やコーヒーは飲まないようにしているが、どうしてもお茶は飲んでしまう。
しかし昨日は、すべての中毒、すべての依存から、解放されたいと思い、昨日はお茶を一本も飲まなかった。
喉が乾けば、水道水を飲んだ。
それで、いいのである。
喉が渇いてもいないに、お茶を飲むのは間違いだ。
これはもう、完全に嗜好品だ。
お茶を飲むということは、悪習慣であり、贅沢である。
それは人生を損なう。
生活の質を下げる。
そんな風に思い、私はその、すべての中毒から解放されたいと思い、だから最後の大物「カフェイン中毒」から、なんとか抜け出したい。
そんな風に思っていたが、今日は朝から早速、いつもと変わらず温かいお茶を、鯨飲してしまっているのである。
まあいい。
コーヒーじゃないだけ、まだましである。
コーヒーは、絶対にいけない。
コーヒーには二十種類の麻薬が入っていると、中学の頃の数学の先生が熱弁して、教えてくれたものである。
我々は毎日、二十種類の麻薬を飲まされているのである。
我々は、カフェイン漬けにされている。
さまざまな中毒に、見舞われている。
そんな悪夢に、気づいてしまった。
世の中は嘘だらけ、そんな現実に、今更ながらに気づいてしまった。
社会はニコニコしながら人民を、中毒漬けにしているのである。
こわいこわい。
この世界は、なんと恐ろしい世界なのだろうか。
こわいこわい。
テレビに出てくる人たち、ユーチューブに出てくる人たちは、とても幸福そうに見えるが、現実の人たちは、リアルな人たちは、果たしてそんなに幸せか。
テレビに出てくる人たちは、贅沢をしまくっている。
良い服を着て、良い車に乗って、豪邸に住んでいる。
しかし一般の民は、そんな贅沢、一生できない。
それを指を咥えて、眺めているだけである。
その現実はなぜかというと、自分の努力不足であるなどと思わされていて、そして必死に馬車馬のように、働かされる。
これはまさに、洗脳である。
こわい話である。
民はまさに、家畜みたいなものである。
そんな悪夢を想像すると、ますます怖くなってくる。
あわわわわー。
などと、頭がパンクしてしまいそうになるものだから仕方なく、精神を落ち着かせるために、霊気満山、高尾山に、繰り出さざるをえない。
人間社会はそんなふうに、地獄の底のような有様だが、山の世界は澄んでいる。
もちろんそこでも殺伐とした弱肉強食、食物連鎖は行われているが、それでもそこは人間社会の、巧妙な地獄絵図に比べたら、まあ比較的、シンプルでわかりやすく、まあ、良い方だと思う。
少なくとも、山にいくと癒される。
それは確かである。
だからとりあえず、山にいく。
金を使って、山にいく。
せっせと山にいく。
登山に励んでくる。
そして心を強くして、この地獄絵図のような人間社会で、なんとか生きていく。
しっかり、頑張っていかなければいけない。
「でも若いうちは、若いから、生きていけたけど、これからが大変ね。あなたはまだいいわね、六十代だから。わたしなんてもう、72歳よ。これからが大変よ。ここから生きていくのは、とても大変ね」
と、今日は高尾山を歩いていて、前を歩いていた二人組のお姉さんが、そんな話をしたことを思い出す。
少し話が、前に進み過ぎてしまっていた。
とにかく今日、朝起きた私は、立川駅でカマベールチーズパンを三つ買い、そして高尾山口駅に移動した。
そして、スタンプラリーの紙を取得した。
そしてまず、一番最初のスタンプである、「高尾山口駅・高尾駅」のスタンプを、しっかりと紙の所定の場所に押した。
次のスタンプも、すぐ近くである。
高尾山口駅の駅前の、「京王高尾山温泉/極楽湯」に、スタンプがあるらしい。
やれやれ、スタンプを押すためには、極楽湯に入らなければいけないのか。
そこで金を支払わなければいけないのか。
やれやれ。
などと思っていたら、ありがたいことにそのスタンプは、極楽湯の入口付近に設置されていた。
だから入場料は不要であった。
高尾山口駅のスタンプは、「ヤマノススメ」というアニメのキャラである「かえで」という女の子のスタンプだった。
「ヤマノススメ」というアニメ、どうやら高尾山では一押しのアニメらしい。
このアニメのキャラは、スタンプにたくさん出てくる。
実は今日、スタンプは全部で十個のうち、八個スタンプを押したのだが、そのうちの六個は、「ヤマノススメ」のキャラクターの女の子のスタンプだった。
まあとにかく、高尾山口駅のスタンプは、「かえで」というキャラ。
極楽湯のスタンプは、「センチコガネ」という、昆虫だった。
さて次のスタンプを目指して進む。
次は、清滝駅である。
しかし、本日はGWのため、人がとんでなく多かった。
通常の土日とは比較にならないくらいに、とんでもなく人が多かった。
ケーブルカーもリフトも行列ができていて、20〜30分くらいの待ちのようだった。
私はしっかりと、清滝駅の、「ナナホシテントウ」というてんとう虫のスタンプを押した。
さて次のスタンプは、琵琶滝である。
私は琵琶滝まで、移動する。
琵琶滝のところの、大聖不動明王のお堂では、私服のおじさんが座り込んで、えんえんとお経を唱えていた。
まるでプロのお坊さんのように、お経がうまかった。
しかし私服であるところを見ると、単なる一般人なのだろう。
その単なる一般人が、気取ってお経を披露しているのだろう。
「ほら、おれ、プロのお坊さんと同じくらい上手に、お経を唱えることができるぜ。へっへっへ。すごいだろ」と、そんなふうに言っているような、ドヤ顔しているような感じの、お経であった。
そのおじさん、とても気持ち良さそうにお経を唱え、自分でうっとりとしてしまっているようだった。
琵琶滝のスタンプは、「ここな」という、アニメキャラのスタンプだった。
さて次は、高尾山駅である。
つまり、ケーブルカーの、上の駅だ。
私は琵琶滝からせっせと霞台園地まで、登っていく。
そして高尾山駅で、「こはる」というアニメキャラの、スタンプを押した。
天狗焼きも買いたかったが、GWのためとんでもなく人が多く、長蛇の行列ができていたので、今回は天狗焼きは諦めた。
先に進む。
次は、薬王院の境内だ。
歩いていると、前に「男女の出会いの会」で、なんども顔を合わせた、常連参加者の人がいた。
似てる人がいるなあと思って歩いていたが、しかし、そんなに似てる人がいるわけがなかった。
その人は、まさにその常連参加者の人だった。
そして私は、その人とは、あまり仲が良くなかった。
その人は、とあるイベントの自由行動時間に、私が素敵な女性と楽しげに話していたら、横からいきなり入ってきて、その女性を奪っていった。
「ちょっとすみません。ちょっとこの子と話をさせてください」とか言ってきて、せっかく私が仲良く話をしていたというのに、強引に横入りしてきて、その女性を奪っていった。
その出来事があったので、私はその人のことを、ひどく恨んでいる。
今でもがっつり、根に持っている。
そして、みすみす素敵な女性を持っていかれてしまった自分の弱さ、不甲斐なさも、ひどく憎む。
そのような、日本でもトップクラスの図々しさ、押し出しの強さを持つ人だったので、私はその人が苦手で、絶対に話をしたくなかったので、私は足早にその人の隣を通り過ぎて、競歩の選手のように早歩きをして、その人から、できる限り遠ざかった。
そうしながらも、高尾山薬王院の、「あおい」というキャラのスタンプも、しっかりゲットした。
そして、その人と山頂あたりでまた顔を合わせるかもしれないと極度に恐れながら、私は山頂に向かった。
山頂もまた、とんでもなく人が多かった。
渋谷のスクランブル交差点と同等レベル以上の、人口密度のように思えた。
これはいかんと思い、私は早々に山頂からはドロンさせていただこうと思い、まずはとにかくトイレを済ませ、スタンプがあるビジターセンターに飛び込んだ。
そしてそこの、「ひなた」というキャラのスタンプを、しっかりゲットした。
そして次は、小仏城山に向かって、歩く。
しかし今日の高尾山の山頂では、みんなお祭り騒ぎみたいな感じで、フライパンで肉焼いて、食べているグループなんかもいて、山頂は、とても美味しそうな匂いで、充満していた。
その喧騒の山頂を後にして、私は小仏城山を目指し、歩いた。
途中、一丁平でベンチに座って、カマンベールチーズパンを三つ、全部食べた。
それがまた、爆発的に美味かった。
なんといっても、この日一回目の食事であったので、空腹が最高のスパイスになった。
すると、私が座っているベンチに、二人の男女がやってきた。
そのうちの男性のほうは、只者ではないようだった。
「ほらここ、ここに生えてますよ」と、名前のわからない低木を、指差す。
「あ、ここにもありますよ」と、男性はいう。
高尾山マニアである。
それも、有段者である。
それはもう、明らかだ。
高尾山には、高尾山マニアの人たちが、大量に蠢いている。
その人たちの高尾山知識は、バケモノである。
最近私は、それに気づいた。
なぜなら私もまた、高尾山マニア道に、入門しているからである。
その分野はとんでもなく競争が激しく、知のバケモノたちが蠢いている。
高尾山の草木、花について、有段者たちはとんでもなく詳しい。
その光景を私は今日、何度も目にした。
道端で高尾山マニアの人たちがうずくまり、何か、草なのか、花なのかを、熱心に見ている。
普通の民間人なら、何も気づかないような場所で、マニアたちは、驚いて立ち止まり、「おい、高木さん、こっちきて。早く早く!」とか言って、「う、う、うそだろ。なんでこんなところに、ホンゲラボーボー(仮名)が生えているんだ! 信じられないな、これは!」などと言って、大盛り上がりしている。
それについては、ご婦人がたも大興奮である。
「きゃーわたし、この花、ずっと見たかったのー!」などと、叫んでいる。
しかし一般の民間人が見ると、なんの変哲もない、地味な花なのである。
まさにマニア。
マニアの世界。
たくみの世界である。
十年頑張って勉強しても、その人たちのレベルまで達することが、果たしてできるだろうか。
そんな無力感、絶望感さえ、感じさせる、高度な知識の、所持者たち。
そんな人たちが、ゴロゴロいる。
とんでもない知のバケモノ集団である。
さて、そんなこんなで小仏城山に到着した、
そして、400円の、小サイズの、抹茶のかき氷を食べたが、小サイズとは思えないほどの、ビックサイズで、全部食べ切るのが、大変に困難であった。
氷を食べ過ぎて、頭をキーンと鳴らしながら、なんとか必死で、全部食べた。
そしてしっかり、小仏城山の、「ほのか」というキャラクターの、スタンプを押した。
で、今日のスタンプラリーは、二つ残しで、終了とさせていただいた。
あと二つ、景信山と、陣馬高原下が残っていたが、もう15時近くになっていたし、残り二つは、またの機会にさせていただこうと思った。
それで、小仏城山からは、日影沢キャンプ場まで、下った。
その途中、また植物ウォッチャーのおばさんたちがいて、「ランノベリー(仮名)、絶対に見たいわ」などと言って、騒いでいて、「ここだけの話、小仏の隣の山に、大量に咲いているらしいわよ」と、ひそひそ話をしていたのを、私はしっかりと、盗み聞きした。
なるほど。
今度歩いてみるか、と思った。
そのようにして、日影沢キャンプ場まで、下ってきた。
キャンプ場では、テント張って、キャンプしている人が、何人かいた。
子供なんかも、すごくはしゃいで、遊んでいた。
そして、日影沢キャンプ場から高尾駅まで、歩いた。
そして、電車に乗って、帰ってきた。
帰り道では、あえて温かいお茶は飲まなかった。
飲まない、食べない。
それを徹底した。
腹が減ってないなら、食べない。
喉が渇いていないなら、飲まない。
それを徹底していこうと、思っている。
そして健康になりたい。
もっともっと健康になりたい。
いつまで健康でいて、健康で生き生きと、長生きしたい。
そう切望する。
家の近所のスーパーで、とろけるチーズ、ヨーグルト、牛乳二本を買ってきた。
そして早速、牛乳一本一リットルを、飲み干した。
ぐおー!と、バイオレンスジャックのように豪快に、飲み干した。
まあ、今日はそんな感じですな。
高尾山の草木とか、花とか、研究して、詳しくなって、みんなで観察しあって、高尾山を散歩する。
それは、とんでもなく健康によい趣味であると、私は思った。
偉大な先人は、すでにそういうことを、しっかりしているのである。
高尾山マニアを目指せば、いつまでも健康でいられるに違いないと、私は確信してしまったのであった。