赤ぼっこ独り占めならず
投稿日
2022/05/19
いやいや、ハエが体に、まとわりついてくる。
現在、赤ぼっこに来ている。
隠れた絶景スポット、私の隠れ家、人に教えたくたい場所である、赤ぼっこであるが、なんということが、赤ぼっこに、先客がいた。
おじさんが一人、赤ぼっこのベンチに座って、うっとりとしながら、そこからの絶景風景を眺めている。
そのおじさんの近くにもう一つベンチがあるが、そこに座ると落ち着かないので、私は赤ぼっこから真っ直ぐ下り、斜面で、日陰になっている場所を見つけ、そこにブルーシートをしいて、強引に座っている。
それで、ハエではなく、アブだろう、小さなハチみたいなやつが、やたらと体にまつわりついてくる。
ヒザにとまり、パチンと叩けばすぐに殺せそうだが、殺すのは気の毒なので、好きにまとわりつかせている。
この場所で、梅おにぎりを二つ食べ、ポテチを食べ、ウーロン茶を飲んだ。
そして今、これを書いている。
本当は景色のよい赤ぼっこのベンチに悠々と座って、のんびりしたかったところだが、先客がいたので仕方がない。
あのおじさん、あの調子では、一時間、二時間、あの場にいるかもしれない。
そしてうっとりとして、そのからの風景を、眺め続けるのかもしれない。
そのように赤ぼっこは、とんでもなく居心地の良い場所である。
しかしまあ、この場所も悪くない。
日陰だし、野鳥のさえずり、耳に心地よいし。
む。
アリにかまれた。
指のねもとに痛みが走り、見てみると、アリがかみついていた。
だから、息を吹きかけ、アリをすっ飛ばした。
アリめ、ふてえやつだ。
なぜ、かむ?
食べられるものだと、思ったか?
私がもし、心無い人間であれば、吹っ飛ばされだけで済まず、ぶっ殺されるところだったぞ。
運のいいやつめ。
野鳥は、こてこての、ウグイス野郎が、ほーほけきょと、鳴いている。
のどかだ。
平和だ。
どこかもっと奥に潜り込んで、テントでも立てて、ニ、三日のんびりしたい気分だ。
私は無職で、毎日なにもしてないくせに、どうも疲れているような気もする。
山にいると、どうも癒され、リフレッシュしてしまう。
まあ、最近は読書に励んでいるわけだが、その読書も、決して楽しいばかりのものではなく、結構疲れるものである。
もともと私は、そんなに読書が好きなタイプではない。
それよりも、映画みたり、ドラマみたりのほうが好きだし、もっと言えば、外をほっつき歩くほうが、好きである。
家で読書などしてても、つまらない。
それだったら、山に行ったり、公園に行ったり、近所をほっつき歩いたほうが、楽しい。
しかし、やたらめったら今まで、本を買いすぎてしまい、このままでは、一生読めないだろうくらいの、莫大な量の本を買いすぎてしまい、だから仕方なく、それらを消化するため、せっせと読んでいる。
それだけでなく、昨日はまた、アマゾンで、本を一冊注文してしまった。
そして、三島由紀夫の、ほうじょうのうみシリーズとかなんとかいう小説にも興味があり、ブックオフで見かけたら、それを買って読んでみようかと、目論んでいる。
読書をしていると、その中で、気になる本の紹介などされてしまうので、ついつい、追加で本を買ってしまう。
マーガレットミッチェルの、風と共にさりぬ、なんかも、また読みたいが、しかし、今、恋愛小説なんか読んでしまうと、女運に完全に見放されてしまっている私は、とんでも無く苦しい目にあわされるかもしれない。
だから、恋愛系は、読まない方が安全だ。
貧乏話とか、苦労話とか、そういう系なら、読むに差し支えない。
登山関係の本も、いくつか溜まっている。
長谷川恒男の本とか、たべいさんの本とか、岳というマンガとか、山女日記の続編とか。
あとはまあ、また新田次郎の登山小説なんかも、もう一度読み直してもいいだろう。
まあとにかく、コツコツと、一行、一行、コツコツと、読み続けていくしかあるまい。
やれやれ、赤ぼっこのおじさん、ヤッホーなんて、叫んでやがる。
私は虫に囲まれながら座っているというのに、いい気なもんだ。
ふと気づくと、見慣れない虫が手に止まっていたものだから、思わずスマホを、落としてしまったぞ。