時には図々しいほうがいい
投稿日
2022/08/10
案の定、黒酢の賞味期限は、切れていた。
もう八月だが、賞味期限は、四月までだった。
だからもう、早く黒酢は、飲み干してしまわなければいけない。
それと、温泉卵のほう、何度も失敗したあげく、ようやくうまく、成功した。
温泉卵の作り方は、お湯を沸騰させて、火を止めて、鶏卵を入れて、そして、十二分そのままにする、というのが、温泉卵の作り方なのだが、失敗、成功を左右する秘訣は、水の量にあるのだと知った。
ユーチューブ動画では、水は一リットルと言っていたと記憶しているが、実際は水は1・5リットルとすることで、うまくいった。
水が多けば多いほど、一度沸騰したお湯は、火をとめて、卵を入れても、温度が下がりにくい。
だからこの場合、いくつ卵を入れるか、あるいは、冷蔵庫から出した卵か、あるいは、常温の卵か、などでも、微調整が必要になる。
これはもう、感覚の問題だ。
うまくそれを数値化できるとは思う。
何度も何度も、作ることで、うまく数値化で、できると思う。
例えば、常温の卵、十個の場合は、1・5リットルの水を沸騰させて、火をとめて、卵を入れて、十二分とか。
しかし、実際は、そんなに単純な話なのではなく、卵の、殻の厚さにもよる。
卵の大きさにもよる。
卵がLサイズなのか、Mサイズなのかと、いうことだ。
それら総合的な判断で、微調整して、ようやく温泉卵というものは、作ることに、成功することもあるし、やはり、失敗してしまうこともある。
あとはなんということだろう、アマゾンで、すでに家にある本を、また購入してしまった。
とんでもない大失敗である。
それで、900円、金をドブに捨てたのと、同様だ。
その失敗に対して、僕は自分を憎悪する。
だから罰として、「今日は一日、一円も使わない刑」に処してやろうかと思ったが、実際は、なんと意志が弱いのだろうか、なんと、スイカで千円チャージして、さらに、百円のジャスミン茶を購入して、スーパーで、1200円分くらい、買い物してしまったのだから、まったく我ながら、呆れるばかりである。
我ながら、「頭おかしい子」としか、言いようがない。
すでに家にある本を、またアマゾンで買ってしまうという、許し難い、大失態、死に値する犯罪行為をしでかしたくせに、それに対して平気の平左で、のうのうと、今日一日だけで、2300円クラスの出費を、やらかしてしまったというわけである。
一週間に一万円しか使わないと決めているのに、もうすでに、水曜日の段階で、もう財布の中身は、六千円くらいに、なってしまっている。
昨日も悪かった。
髪の毛が長くなってしまった鬱陶しさに耐えきれず、QBハウスで、散髪した。
ヘアースタイルを、一ミリの坊主にした。
そのQBハウス代が、1200円であり、さらに、電車での移動費もかかった。
その移動費がなかったら、今日は、スイカに千円チャージする必要はなかったのに。
スーパーの買い物の、内容は、醤油、ニンジン、キャベツ、豆腐二丁、納豆三つ、チューブしょうが、と、いったところである。
醤油は、いいのを買った。
760MLで、消費税込みで、330円くらいの、醤油である。
特選醤油、とかいう名前のやつだ。
激安醤油も売っていたが、激安醤油の成分を見てみると、アルコールが入っていた。
しかし特選醤油のほうは、アルコールが入っていなかった。
だから、煮物とかに醤油を入れる分には、アルコールが入っているもので、問題ないと思うが、納豆とか、豆腐とかに、そのまま醤油をかけて食べる場合、その醤油に、アルコールが入っているのは、いかがなものか?と、思ってしまった。
それで、激安醤油は、購入を控えた。
しかしまあ、今日も青梅丘陵ハイキングコースに行ったわけだが、そこで小さな、事件が勃発した。
ハイキングコースを歩いていたら、年配の女性が、道に座り込んでいたのである。
今日は、とても暑い。
天気予報サイトをちらりと見てみると、今日の気温は三十八度くらいだという。
その女性の様子は、いかにも平気そうな感じだったので、「なんであんなところに座り込んでいるのだ。非常識な人だなあ」と、僕は思ってしまった。
しかし、そうではなかった。
その人は平気そうに見えていたが、しかし実際は、それほど平気ではなかった。
後ろから、いかにも図々しそうな、おじさんが、走ってきた。
そして、いかにも図々しい態度で、「どうしたんですか? 大丈夫? 休んでるだけ?」と、その座り込んでいる女性に、図々しい口調で、話しかけた。
すると女性は、平気そうな顔をしながらも、「水を飲もうとしたら、倒れちゃって。でも大丈夫だと思う。二リットルくらい、水を飲んだから」と、発言した。
つまりその女性は、大丈夫では、全然なかったのである。
つまりこの場合、図々しい男性の対応のほうが、百パーセント正しかった。
その場合、一応、「大丈夫ですか?」と声をかけるのが、正解だった。
しかし僕は、「あんなところに座り込んで、非常識な人だ」と、思って、憤りを感じ、イラついた態度で、無言でその場を、通り過ぎようとしていた。
つまり、完全に、ピンチの人を、見殺しにした。
この件には、考えさせられるものがある。
己の、根っからの、冷酷非情な性格が、浮き彫りになってしまった。
自分自身の物差しで、物事を判断してしまい、熱中症で倒れた人に対して、その気持ちを、理解することができなかった。
ハイキングコースなんかで、人が倒れるわけがない。
そんな風に、思い込んでしまった。
しかし今日は、三十八度の、灼熱地獄の一日だったのだ。
だから、高齢者の人が、ハイキング中に、熱中症で、倒れる可能性も、ある。
今はまだ僕も若いので、まだまだ体は、動く。
しかし、十年後、二十年後、三十年後とたつと、やはりそうも、いかなくなる。
やがて、熱中症で、倒れてしまうことも、あるだろう。
そんなとき、若いやつが、「なにやってんだ、こいつ?」みたいな顔をして、通り過ぎようとして、全然助けてくれなかった場合、どんな風に思うだろう。
そのことを、もっと真剣に、考えなければいけないのかもしれない。
時には図々しいくらいの態度で、ずげずげと、相手の事情に踏み込んで、声をかけるくらいのほうが、正解なのかもしれないなと、今日は、気付かされる、一日であった。
あと気になった点として、クワガタ問題である。
ハイキングをしていると、よく虫に遭遇する。
そんなとき、僕はいつも、虫をつついてみる。
つついた時の虫の反応は、だいたい似ている。
つつくと、虫は、死に物狂いで、逃げるのである。
クモも逃げるし、カエルも逃げるし、ムカデも逃げる。
カエルは、何度もつついていると、ぴたりと動きを止める。
死を観念するのか、あるいは、止まっているほうが、安全だと思うのかもしれない。
ムカデなんて、あんな、毒々しい姿をしてるくせに、それでも、一丁前に死にたくないみたいで、指でつつくと、狂ったように逃げる。
必死で逃げる。
絶対に、絶対に、絶対に死にたくない! とばかりに、必死で逃げる。
ムカデの分際で、一丁前に、死ぬことは、絶対に嫌なようである。
僕の昔住んでいたアパートには、よくムカデが出てきた。
寝てると、足がちくっとすると思ったら、布団をはいでみると、巨大ムカデに噛まれていた、などという、ホラーのような出来事が、ちょくちょくあったし、起きてるときに、ムカデが狂ったような勢いで、僕に突進してくることもあった。
さながら、前世の親友が、ムカデに姿を変え、「おー、ひさしぶりー」などといって、歩み寄ってくるように、あるいは、前世のワイフが、なんとか僕に会おうとして、あれこれ試し、頑張って、なんとか、ムカデの肉体を獲得して、僕に突進し、「あなたー、やっと会えたのねー!」と、言って、歓喜して、僕に突進してくるような、そんな勢いで、巨大ムカデが一直線に、僕に突進してくることがあった。
そんなとき、僕は、狂ったようになり、心底ムカデに恐怖しながら、ムカデで、徹底的に、叩き潰した。
本とかで、バンバン叩いて、ムカデを狂ったように、叩き潰した。
そのことを思う。
でもムカデは本当は、人間と同様、死にたくない生き物なのだ。
ムカデをつつくと、必死で逃げていく姿をみると、人間と同様、ムカデも、絶対に死にたくないと思いながら、生きているのだということに、気づいた。
そのムカデを、僕は無慈悲に、残酷に、何匹もぶっ殺してしまっている……
それを思うと、大変申し訳なく思う。
それらもろもろ、今日もまた、色々と反省点が見つかった。
それを踏まえた上で、今後の人生に、活かしていきたいところである。
あ、クワガタ問題について、忘れていた。
クワガタを指でつついた場合、クワガタは、逃げない。
ただ、体を起こし、自分を大きく見せて、こちらを威嚇してくる。