あの、高尾山イベント
投稿日
2024/10/01
あれは、はじめて高尾山の婚活イベントに出た時である。
そこに、三人組の山ガールがいた。
そのうちの二人は、絶世の美人であった。
その二人が、あまりにも美人すぎて、残りの一人も、美人に見えた。
その、三人組の山ガールは、登山の「ガチ勢」であった。
かなりきつめの山ばかりを登っている、スポーティーな三人組であった。
その人たちと、登山の話をしていて、今度、登山をするという話が出て、「私もぜひ、ご一緒したいです」と言った時、その山ガールは「お前なんかが、この私たちの登山に、ついてこれるわけがないだろ、バーカ」というような、顔をした。
バカにしたような、蔑んだような目で、苦笑して、私を見たのである。
その顔が、ずっと忘れられない。
そしてその高尾山イベントには、スポーティーな、イケメン男性もいた。
その男性は、その山ガール三人組と、とても仲良くなった。
今度一緒に登山に行くという話も、とんとん拍子に進んでいた。
当時私は、四十二歳であった。
そしてその山ガール三人組は、たぶん、三十五歳以下であったと思う。
イケメン男性も、三十二歳くらいであったと思う。
その婚活イベントで、私はひどく、劣等感を植え付けられてしまったような気がしている。
昔、運動が得意なタイプだった私は、体力面で、女性にバカにされてしまったことが悔しくて、プライドをひどく傷つけられてしまっていた。
そして実際に、ずっと運動不足だった私は、もう、かなり体力が落ちてしまっていた。
しかしその悔しさが、どうやら長々と残ったらしく、その後、私は熱心に、登山に励んだものであった。
ああいう感じの、山ガールの人たちに、今後もう二度とバカにされたくないという意識が、働いたのかもしれない。
一時期、アホのように、登山に励んでいたものである。
私は、登山の上級者になりたいと思ったのである。
そのために、登山初心者にもかかわらず、東京都で一番高い山である、雲取山にも、一人で登りに行って、酷い目に遭ったのである。
その私の登山の取り組みは、一体なんだったのだろうか。
単に山ガールと仲良くなりたいから、登山に励んでいたのかもしれない。