地球の王
投稿日
2024/10/13
地球にやってきた宇宙人が、色々見てまわり、地球の素晴らしさに感心して、そこらの人間の一人に、質問したのである。
「地球ってすごいですね。すべてのレベルが高いです。ちなみにこの素晴らしい地球の王様って、一体、どんな方なんですか? さぞかし優秀な方なんでしょうねえ」
「地球の王様は、この俺だ」
「え、嘘でしょ? 本当にあなたなんですか?」
「そうだ」
しかし、いかにもアホそうな奴である。
宇宙人はそいつを無視して、他の人間にも尋ねてみる。
「私よ」
「僕さ」
「儂じゃ」
なんということか、「王様は誰だ?」と尋ねられた人間は全員、「自分が王様」だと言い張るではないか。
これってどういうこと?
宇宙人の調査は続く。
王様とか言いながら、毎日、馬車馬のように働いて、あっちこっちでぺこぺこして、屈辱的な思いをして、怒ったり、恨んだり、憎んだりして……
なんだよこいつら、全然権力ねえじゃん。
でも例の質問をすると、みんな「王様は自分」だと言い張る。
しかし見ていると、ダンボールハウスの中にいる自称・王様は、病気で弱っていて、今にも死にそうだが、誰も助けない。
本人も諦め切っていて、絶望的な暗い目をして、助けを求めず、納得して、孤独に死ぬのを待ってる感じ。
でも尋ねると、自分が王だと言い張っている。