2013-02-07
投稿日
2024/10/13
Hは9時に起きて散歩に出かけた。
いつもそう、朝起きてから、まずは散歩に出かけるようにしている。
これはつまり健康のためだ。
Hには自分の健康状態が、どうもイマイチなように感じられていた。
彼は顎関節症のような症状に悩まされていた。
しかし大きな病院で診断してもらった時には、医者から、「顎関節症ではありません」と、言われてしまっていた。
「じゃあ、なんですか?」
「知りません、そんなことは」
と、医者が言ったわけではないが、どうも不調の原因が、よく分からなかった。
いっそ、
「顎関節症です。間違いなく、顎関節症です」
と、きっぱり言ってもらった方が良かった。
脳神経外科、耳鼻科、口腔外科、歯科など、色々と受診したが、結局、原因の特定ができなかった。
まあ、症状的には、顎関節症のような感じである。
多分、顎関節症なんじゃないかなあと、Hは思っている。
まあ、それはいいとして、とにかく彼は朝に散歩に出かけた。
そしていつもように自動販売機でブラックの缶コーヒーを購入して、それをグビグビと飲みながら歩いた。
この日は交通量調査の人が、色んなところに座っていた。
Hは歩き続けていた。
まっすぐ行って、左に曲がって、またまっすぐ行って、また左に曲がった。
まるでゲーム「ウイザードリー」のようであった。
それはダンジョン系の3Dゲームである。
しかしHはどうも、ロールプレイングゲームのダンジョンが苦手であった。
ダンジョンに入ると不安な気持ちになって、気分が悪くなる。
だからダンジョンには入りたくなかった。
Hはスーパーに近づいたが、そこを素通りした。
ゴミ袋が少なくなってきたので、それを購入しても良かったが、まだ大丈夫だろうと思って、スーパーに入るのはやめておいた。
いつもなら午前中の散歩の時に、なにか食料を購入して帰るのだけど、今回は食料を買おうかどうか、迷っていた。
別に買わなくても、すでにそこそこ家に食料が揃っていた。
カップ麺、白菜の漬物、ご飯、卵、納豆、長ネギなどがある。
しかし結局、コンビニで食料を購入した。
カルビ丼弁当、あさりパスタ、肉まん三つを購入した。
コンビニでは若い男性店員が、二人の女性店員に、ちょっと偉そうな口調で、何か喋っていた。
Hはその威張った感じの、気色の悪い若い男性店員を避けたかったが、レジには彼しか立っていなかったので、仕方なく彼に商品を差し出した。
「お弁当温めますか?」
「はい」
「え?」
「はいっ! 温めます! 温めますとも! お願いします!」
という、くどいやり取りがあったわけではないが、温めるかどうかを聞き返されてしまい、Hは少しだけイラッとした。
でも考えてみると、こちらが客で、相手がコンビニ店員だからといって、こちらが威張って良いという法律はない。
考えてみるがいい、もしコンビニの店員が、「あなたには売りません」と、きっぱり言ってきた場合、どうする?
困るだろう?
つまり、そういうことだ。
いつもコンビニを利用させていただいて、ありがとうございます、という、感謝の気持ちが必要だと、Hは思う。
だから店員にも、それなりに丁寧な対応をすべきである。
これに関しては、DVDレンタルの店員に対しても、同様である。
たとえ店員の態度が気に入らなかったとしても、上記と同じ理由で、それなりに丁寧な対応をすべきである。
というわけで散歩を終えたHは、家に帰って、肉まん三つとカルビ丼を食べた。
あさりパスタは残している。
ちょっと買い過ぎてしまっていた。
食事を終えた後は、村上春樹の「海辺のカフカ」を読んだ。
そしてそれをキリのよいところまで読んでから、在宅勤務の仕事をはじめた。