2013-05-20-02
投稿日
2024/10/18
Hは学生時代、いつもイジメられることに怯えていた。
イジメは恐ろしい。
それは青春も恋愛も勉強も、何もかもを潰す。
「あんたの学校もイジメがあるの?」
親からそう聞かれても、
「ない」
と答える。
必ず「ない」と答える。
でも本当は常に身近にあるのだ。
どこにでもある。
それにひどく怯えていた。
今の学生の間にも、もちろん、ある。
あの凄まじく恐ろしい世界が、今も繰り広げられている。
地獄のような思いをしている学生たちがいる。
彼らは親から「イジメがあるか?」と聞かれたら、必ず「ない」と答える。
イジメに怯えている自分が恥ずかしいからである。
そんな自分を絶対に親には知られたくない。
自分はイジメとは無縁な世界で、明るく楽しく日々を送っているのだと、思わせたい。
しかしイジメというものから逃れるためには、口を封じられては絶対にダメなのだと、Hは思う。
イジメられたらイジメめられたと、世界中に言いふらすのだ。
一人でも多くの人間に、自分の苦しみを、しっかりと伝える。
口をしっかり使うのだ。
10人に言ってダメなら、100人に言うべきだ。
それでもダメなら、1000人に言うべきだ。
そして無理して学校に行く必要もない。
親はそういう子供の選択も理解してあげなければいけない。
何をされても誰にも何も言えない人が、イジメの標的になりやすい。
そして地獄の苦しみを味わう。
決して口を封じられるな。
無理して学校に行くことはない。
閉鎖的で陰湿な、気色の悪い世界。