超能力
投稿日
2024/10/21
2024年10月21日。月曜日。11時01分。青梅行きの電車の中。
最近コーヒーを絶っている。かわりにトマトジュースを持ってきている。昨日ペットボトルのトマトジュースを、サンドラッグで五本買った。
11時10分。青梅駅の休憩室で温かい緑茶を飲んでいる。また古里駅のセブンイレブンで食事、そのあと青梅丘陵でハイキング、の流れになりそうだ。
昨日ユーチューブでスピリチュアル関係の動画をずっと観ていた。幽霊、守護霊、生霊などが見える人がいる。嘘だと思ったが、その人たちの表情や言うことには、リアリティがある。どうやらその人たちには、本当に見えている。
きっと私にも色々と取り憑いているのだろう。そういう目に見えない存在たちが、私の行動を操作しているのだろう。
占いとか調べると、けっこう面白いかもしれない。男性よりも女性のほうが、そういうものに対する関心は強い。
婚活イベントで知り合った男性でも、占いにどっぷりとハマっている人がいた。深く人を観察する人物で、いつも物事の裏側を探るような目つきをしていた。男だけの登山にも、よく顔を出す。二人で温泉施設に行ったこともある。そして差し向かいでビールを飲んだ。その時には私にも強い関心を示し、私の本心の裏側を探るような、疑い深い目つきをした。
「私に生年月日と本名を教えてしまったら、あなたのすべてが見えてしまいますよ? それでもよろしいですか?」
その人はそう警告したが、私はすべてを教えた。その人は私のすべてを知っただろうか? あの高橋源一郎みたいな顔をした人物は……。
世の中には、その「源ちゃん」のように、人間そのものに興味を持っている人がいる。大抵の人は、異性にしか興味を持っていない。婚活イベントで知り合った男性は特にそうである。しかし源ちゃんは違う。この私に対しても、強い興味を示した。
それが源ちゃんの魅力である。他の人間はみんな私には無関心。私のことをジャガイモだと思っている。そもそも人は、魅力的な人にだけ興味津々で、そうでない人に対してはジャガイモ扱いである。
源ちゃんの目には、私は謎の人物のように映ったのだろうか? だとしたら慧眼である。私の善人ぶった外見の裏に潜む、悪魔の正体を見破った事になる。その奥で冷酷に見ている、私のこの邪眼――イービルアイに、気づいた事になる。しかし「すべてが見えてしまいますよ?」などとは、思い上がりも甚だしい。そんな源ちゃんの傲慢な発言を聞いた私は、彼を少し軽蔑した。その私の軽蔑に、彼は気づいただろうか?
私は昔から、人を小馬鹿にしたような、嫌な目つきをする。そんな目で人様を見てしまうと、一発で嫌われるのは分かっているのに、ついつい無意識で、やってしまう。
しかし源ちゃんは本当にすべてが見えてしまう超能力者なのかもしれない。誰もが源ちゃんに、無意識的に、畏怖のようなものを感じている。源ちゃんを馬鹿にすると、呪われてしまいそうな……。
私も超能力が欲しい。それはどうすれば獲得できるのか?