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デジタルノベルコンテストVol.1(7)
投稿日
2024/10/23
 2024年10月23日。水曜日。10時07分。青梅行きの電車の中。「デジタルノベルコンテストVol.1」の締め切りが刻一刻と迫っている。応募作品はほとんど応募して良い状態になっている。なんならもう読み返さなくてもいい。今の状態でエイヤっと応募してしまってもいい。また読み返して数カ所直したところでそれほど大差は無い。受かるなら受かるし受からないなら受からない。
 粗探しをするような意地の悪い目で見ればまだ修正点はいくらでも見つかる。これから大幅に改造してしまうことだってできる。しかし本格的な推敲をする時間はもう残されていない。
 しかし果たしてその応募作品は面白いのか?
 落選するにしてもそれを読んだ人の正直な感想を聞きたい。どんな人が読んだのか?どう思って落選と決めたのか?それを詳しく聞きたい。なんなら目の前で読んで欲しい。そして正直な感想を聞かせて欲しい。小説の専門家が評価しているのか。あるいはそうじゃない人が評価しているのか。
 漫画だと持ち込みオッケーな出版社はたくさんある。編集者が目の前で見てくれてその場で感想を聞かせてくれる。しかし小説だと持ち込みオッケーな出版社は無い。賞に応募して落選ならなんの連絡も無い。
 ヨーロッパなら小説を出版社に送るとその小説の感想を書いた返事が必ず貰える。ヨーロッパではそのようにして小説家を発掘する。しかし編集者の目は確かではない。世界的な名作のパールバックの『大地』は最初は酷評され送り返された。
 株式会社コルクに所属している〝現代を思考し続ける小説家〟平野啓一郎はそんな日本の賞で小説家を作るシステムが嫌で『新潮』の当時の編集長の前田速夫に原稿を持ち込んで直接自作『日蝕』を読んで貰いそれが前田に認められそれは『新潮』に一挙掲載され平野はその『日蝕』で第120回芥川賞を当時最年少の23歳で受賞した。そんな平野の所属しているコルクという会社に大きな期待をかけている。その会社に所属して〝物語の力で一人一人の世界を変える〟を実現したい。
 なんなら今回の応募作品を漫画の原作にしてもいい。漫画にしてどこかの出版社に持ち込んでやろうか?いやそれは適切とは思えない。漫画の原作ならきちんとそれ用に改めて作らなければならない。漫画の原作の作り方も勉強したい。勉強をする意欲はいくらでも持っている。
 自分の作品の中に〝自分〟を込めたい。そういう作品だからこそ何度も推敲したくなる。応募作品は400字詰め原稿用紙で38枚くらい。短い作品である。しかしその中にしっかり自分が込められている。だから何度でも推敲できる。一度賞で落選した作品なのにまた書き直して応募している。その作品の主人公は明らかに自分だと思うことができる。しかしその作品が他者から評価されるとは思えない。株式会社コルクのCEO――佐渡島庸平大権現に直接読んでもらいたいような自信作とは言えない。
 自信作でないなら一体なぜ応募するのか?
 11時10分。青梅行きの電車に乗っている。古里駅のセブンイレブンで新商品「明太もちチーズまん(160円)」を3個食べた。
 結局自分にとっての良い作品というものはその中で〝自分〟をしっかり出せているもの。その小説がたとえフィクションでもその中に〝自分〟がしっかり出せているか。それが自己の評価基準になる。自分がしっかり出せていればそれは推敲の対象作品。そうでない作品にはわざわざ推敲する価値は無い。
 他者のことなんてわからない。だから小説に出てくるキャラはすべて自分。すべて自分であって良い。自分の醜さ恥部だらしなさ情けなさ。それをしっかり書いていく。
 人間は3歳ですでに性質が決まっている。100歳になっても変わらない。であるならば一体自分のなにが恥ずかしいのか?3歳の自分にどんな罪があるというのか?
 11時31分。電車は宮ノ平駅に到着したが今日はここで降りて青梅丘陵をハイキングしない。真っ直ぐ家に帰る。これから青梅駅で乗り換える。
 家には茹でた人参がある。人参を丸のまま茹でた。そうすると人参が抜群に食べやすくなる。それを最近発見した。人参の栄養は加熱しても壊れにくい。だから人参はカレーの具の定番。
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