カップリングは、あまり気にする必要はないだろう。気にすべきところは、お客様の満足度の最大化。そこが一番気にすべき点だろう。
　お客様の満足度が最大となり、
「また来たい、参加したい」
　と思ってもらえれば、それで良い。
「もっというなら、Ｔという奴の進行が気に入った。ぜひまたこいつの進行のときに参加したい」
　そんな風に思ってもらえれば、ベスト。
　そのために、まだまだやれることは、たくさんある。工夫すべき点も、たくさんある。

　＊

　そして後日――。
　Ｑ社のイベントディレクターの仕事は、とても大変だった。
　Ｑ社のＭ社長の性格は、かなり難しい。こちらから聞かないと、なにも説明してくれない。そして理解できないことを、いろいろと言ってくる。
　イジメかと思う。Ｍ社長に、さんざん振り回された。
　なんとかイベントを無事に終わらせたが、とても大変だった。
　報酬の受け取り方についても、Ｍ社長の言うことは、コロコロと変わった。
　無茶苦茶なこと、分からないことを、いろいろ言ってくる。こちらの反応を見ながら、手探りで、いろいろと決めているようだ。最後の最後まで、報酬金の渡し方についても、訳の分からないことばかりを言ってきた。
　それで結局、最後には、Ｍ社長の命令を完全に拒絶する形になってしまった。Ｍ社長の言うことがコロコロと変わるので、私の方も、こっちはこっちで、やり方を勝手に決めた。最後の最後に、明確に、Ｍ社長に逆らってしまった。
　もうＱ社では仕事できないかもしれない。
　でも、もう別に、あそこで仕事は、しなくてもいい。なんかグレーだし、色々と不誠実だし。
　ムリしてあそこで働く必要はない。機会があれば、また働かせてもらいたいと、少しは思うが、もう二度と働かなくても良い。

（完）