登山サークル アウトドアチャイルド

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第一〇回サークル登山 六
投稿日
2025/02/10
 その恒男の判断は、尊敬に値する。あの状況で迷いなく、確信をもって、しっかりと安全第一の判断をする。これぞまさに、登山上級者の判断。
 確かにそう、ヘタしたら、暗くなる前に下山できないかもしれない。
 こういう状況では、一切冒険すべきではない。安全性を最優先して、黙々と、最短距離を進むべき。そのもっとも正しい判断を、優秀な恒男が、毅然と示してくれた。
 そんな立派な判断を、本当は、リーダーの私が出来れば良かった。それが出来なかった事が悔やまれる。次にまた同じような状況になったときは、恒男のように毅然と、安全第一の判断をしたい。
 途中、巨大カエルの出現で、女性たちの足が止まった。カエルを見て、女性たちは大はしゃぎした。長い登山の道のりで、疲れすぎ、女性たちはランナーズハイのような状態になっていた。とても饒舌になり、ささいなことで、大はしゃぎした。そしてその足取りは、随分とのんびりしていた。
「あと、どのくらいで着きますか?」
 B子がはしゃぎながら、私にそう質問した。
「このペースだと……、あと一時間三十分くらいだと思います」
 私がそう答えると、女性たちは、焦りの表情を浮かべた。
「え? じゃあ、到着は十八時ぐらい? 大丈夫なの? 下に着く前に、真っ暗になっちゃうんじゃないの?」
 女性たちは、もしかしたら遭難するかもしれないと、危機感を持ったようだ。それからは黙々と、急ぎ足で歩くようになった。

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